有機溶剤中毒予防規則 第1条~第4条の2
このページでは有機溶剤中毒予防規則(有機則) 第1条、 第2条、 第3条、 第4条、 第4条の2 を掲載しています。
(令和6年4月1日施行)
第一章 総則
(定義等)
第一条 この省令において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 有機溶剤 労働安全衛生法施行令(以下「令」という。)別表第六の二に掲げる有機溶剤をいう。
二 有機溶剤等 有機溶剤又は有機溶剤含有物(有機溶剤と有機溶剤以外の物との混合物で、有機溶剤を当該混合物の重量の五パーセントを超えて含有するものをいう。第六号において同じ。)をいう。
三 第一種有機溶剤等 有機溶剤等のうち次に掲げる物をいう。
イ 令別表第六の二第二十八号又は第三十八号に掲げる物
ロ イに掲げる物のみから成る混合物
ハ イに掲げる物と当該物以外の物との混合物で、イに掲げる物を当該混合物の重量の五パーセントを超えて含有するもの
四 第二種有機溶剤等 有機溶剤等のうち次に掲げる物をいう。
イ 令別表第六の二第一号から第十三号まで、第十五号から第二十二号まで、第二十四号、第二十五号、第三十号、第三十四号、第三十五号、第三十七号、第三十九号から第四十二号まで又は第四十四号から第四十七号までに掲げる物
ロ イに掲げる物のみから成る混合物
ハ イに掲げる物と当該物以外の物との混合物で、イに掲げる物又は前号イに掲げる物を当該混合物の重量の五パーセントを超えて含有するもの(前号ハに掲げる物を除く。)
五 第三種有機溶剤等 有機溶剤等のうち第一種有機溶剤等及び第二種有機溶剤等以外の物をいう。
六 有機溶剤業務 次の各号に掲げる業務をいう。
イ 有機溶剤等を製造する工程における有機溶剤等のろ過、混合、攪拌、加熱又は容器若しくは設備への注入の業務
ロ 染料、医薬品、農薬、化学繊維、合成樹脂、有機顔料、油脂、香料、甘味料、火薬、写真薬品、ゴム若しくは可塑剤又はこれらのものの中間体を製造する工程における有機溶剤等のろ過、混合、攪拌又は加熱の業務
ハ 有機溶剤含有物を用いて行う印刷の業務
ニ 有機溶剤含有物を用いて行う文字の書込み又は描画の業務
ホ 有機溶剤等を用いて行うつや出し、防水その他物の面の加工の業務
ヘ 接着のためにする有機溶剤等の塗布の業務
ト 接着のために有機溶剤等を塗布された物の接着の業務
チ 有機溶剤等を用いて行う洗浄(ヲに掲げる業務に該当する洗浄の業務を除く。)又は払しよくの業務
リ 有機溶剤含有物を用いて行う塗装の業務(ヲに掲げる業務に該当する塗装の業務を除く。)
ヌ 有機溶剤等が付着している物の乾燥の業務
ル 有機溶剤等を用いて行う試験又は研究の業務
ヲ 有機溶剤等を入れたことのあるタンク(有機溶剤の蒸気の発散するおそれがないものを除く。以下同じ。)の内部における業務
2 令第六条第二十二号及び第二十二条第一項第六号の厚生労働省令で定める場所は、次のとおりとする。
一 船舶の内部
二 車両の内部
三 タンクの内部
四 ピツトの内部
五 坑の内部
六 ずい道の内部
七 暗きよ又はマンホールの内部
八 箱桁の内部
九 ダクトの内部
十 水管の内部
十一 屋内作業場及び前各号に掲げる場所のほか、通風が不十分な場所
(適用の除外)
第二条 第二章、第三章、第四章中第十九条、第十九条の二及び第二十四条から第二十六条まで、第七章並びに第九章の規定は、事業者が前条第一項第六号ハからルまでのいずれかに掲げる業務に労働者を従事させる場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、当該業務については、適用しない。
一 屋内作業場等(屋内作業場又は前条第二項各号に掲げる場所をいう。以下同じ。)のうちタンク等の内部(地下室の内部その他通風が不十分な屋内作業場、船倉の内部その他通風が不十分な船舶の内部、保冷貨車の内部その他通風が不十分な車両の内部又は前条第二項第三号から第十一号までに掲げる場所をいう。以下同じ。)以外の場所において当該業務に労働者を従事させる場合で、作業時間一時間に消費する有機溶剤等の量が、次の表の上欄に掲げる区分に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる式により計算した量(以下「有機溶剤等の許容消費量」という。)を超えないとき。
消費する有機溶剤等の区分 | 有機溶剤等の許容消費量 |
第一種有機溶剤等 | W=(1/15)×A |
第二種有機溶剤等 | W=(2/5)×A |
第三種有機溶剤等 | W=(3/2)×A |
備考 この表において、W及びAは、それぞれ次の数値を表わすものとする。 W 有機溶剤等の許容消費量(単位 グラム) A 作業場の気積(床面から四メートルを超える高さにある空間を除く。単位 立方メートル)。ただし、気積が百五十立方メートルを超える場合は、百五十立方メートルとする。 |
二 タンク等の内部において当該業務に労働者を従事させる場合で、一日に消費する有機溶剤等の量が有機溶剤等の許容消費量を超えないとき。
2 前項第一号の作業時間一時間に消費する有機溶剤等の量及び同項第二号の一日に消費する有機溶剤等の量は、次の各号に掲げる有機溶剤業務に応じて、それぞれ当該各号に掲げるものとする。この場合において、前条第一項第六号トに掲げる業務が同号ヘに掲げる業務に引き続いて同一の作業場において行われるとき、又は同号ヌに掲げる業務が乾燥しようとする物に有機溶剤等を付着させる業務に引き続いて同一の作業場において行われるときは、同号ト又はヌに掲げる業務において消費する有機溶剤等の量は、除外して計算するものとする。
一 前条第一項第六号ハからヘまで、チ、リ又はルのいずれかに掲げる業務 前項第一号の場合にあつては作業時間一時間に、同項第二号の場合にあつては一日に、それぞれ消費する有機溶剤等の量に厚生労働大臣が別に定める数値を乗じて得た量
二 前条第一項第六号ト又はヌに掲げる業務 前項第一号の場合にあつては作業時間一時間に、同項第二号の場合にあつては一日に、それぞれ接着し、又は乾燥する物に塗布され、又は付着している有機溶剤等の量に厚生労働大臣が別に定める数値を乗じて得た量
第三条 この省令(第四章中第二十七条及び第八章を除く。)は、事業者が第一条第一項第六号ハからルまでのいずれかに掲げる業務に労働者を従事させる場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、当該業務については、適用しない。この場合において、事業者は、当該事業場の所在地を管轄する労働基準監督署長(以下「所轄労働基準監督署長」という。)の認定を受けなければならない。
一 屋内作業場等のうちタンク等の内部以外の場所において当該業務に労働者を従事させる場合で、作業時間一時間に消費する有機溶剤等の量が有機溶剤等の許容消費量を常態として超えないとき。
二 タンク等の内部において当該業務に労働者を従事させる場合で、一日に消費する有機溶剤等の量が有機溶剤等の許容消費量を常に超えないとき。
2 前条第二項の規定は、前項第一号の作業時間一時間に消費する有機溶剤等の量及び同項第二号の一日に消費する有機溶剤等の量について準用する。
(認定の申請手続等)
第四条 前条第一項の認定(以下この条において「認定」という。)を受けようとする事業者は、有機溶剤中毒予防規則一部適用除外認定申請書(様式第一号)に作業場の見取図を添えて、所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
2 所轄労働基準監督署長は、前項の申請書の提出を受けた場合において、認定をし、又はしないことを決定したときは、遅滞なく、文書でその旨を当該事業者に通知しなければならない。
3 認定を受けた事業者は、当該認定に係る業務が前条第一項各号のいずれかに該当しなくなつたときは、遅滞なく、文書で、その旨を所轄労働基準監督署長に報告しなければならない。
4 所轄労働基準監督署長は、認定を受けた業務が前条第一項各号のいずれかに該当しなくなつたとき、及び前項の報告を受けたときは、遅滞なく、当該認定を取り消すものとする。
(化学物質の管理が一定の水準にある場合の適用除外)
第四条の二 この省令(第六章及び第七章の規定(第三十二条及び第三十三条の保護具に係る規定に限る。)を除く。)は、事業場が次の各号(令第二十二条第一項第六号の業務に労働者が常時従事していない事業場については、第四号を除く。)に該当すると当該事業場の所在地を管轄する都道府県労働局長(以下この条において「所轄都道府県労働局長」という。)が認定したときは、第二十八条第一項の業務(第二条第一項の規定により、第二章、第三章、第四章中第十九条、第十九条の二及び第二十四条から第二十六条まで、第七章並びに第九章の規定が適用されない業務を除く。)については、適用しない。
一 事業場における化学物質の管理について必要な知識及び技能を有する者として厚生労働大臣が定めるもの(第五号において「化学物質管理専門家」という。)であつて、当該事業場に専属の者が配置され、当該者が当該事業場における次に掲げる事項を管理していること。
イ 有機溶剤に係る労働安全衛生規則(昭和四十七年労働省令第三十二号)第三十四条の二の七第一項に規定するリスクアセスメントの実施に関すること。
ロ イのリスクアセスメントの結果に基づく措置その他当該事業場における有機溶剤による労働者の健康障害を予防するため必要な措置の内容及びその実施に関すること。
二 過去三年間に当該事業場において有機溶剤等による労働者が死亡する労働災害又は休業の日数が四日以上の労働災害が発生していないこと。
三 過去三年間に当該事業場の作業場所について行われた第二十八条の二第一項の規定による評価の結果が全て第一管理区分に区分されたこと。
四 過去三年間に当該事業場の労働者について行われた第二十九条第二項、第三項又は第五項の健康診断の結果、新たに有機溶剤による異常所見があると認められる労働者が発見されなかつたこと。
五 過去三年間に一回以上、労働安全衛生規則第三十四条の二の八第一項第三号及び第四号に掲げる事項について、化学物質管理専門家(当該事業場に属さない者に限る。)による評価を受け、当該評価の結果、当該事業場において有機溶剤による労働者の健康障害を予防するため必要な措置が適切に講じられていると認められること。
六 過去三年間に事業者が当該事業場について労働安全衛生法(以下「法」という。)及びこれに基づく命令に違反していないこと。
2 前項の認定(以下この条において単に「認定」という。)を受けようとする事業場の事業者は、有機溶剤中毒予防規則適用除外認定申請書(様式第一号の二)により、当該認定に係る事業場が同項第一号及び第三号から第五号までに該当することを確認できる書面を添えて、所轄都道府県労働局長に提出しなければならない。
3 所轄都道府県労働局長は、前項の申請書の提出を受けた場合において、認定をし、又はしないことを決定したときは、遅滞なく、文書で、その旨を当該申請書を提出した事業者に通知しなければならない。
4 認定は、三年ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によつて、その効力を失う。
5 第一項から第三項までの規定は、前項の認定の更新について準用する。
6 認定を受けた事業者は、当該認定に係る事業場が第一項第一号から第五号までに掲げる事項のいずれかに該当しなくなつたときは、遅滞なく、文書で、その旨を所轄都道府県労働局長に報告しなければならない。
7 所轄都道府県労働局長は、認定を受けた事業者が次のいずれかに該当するに至つたときは、その認定を取り消すことができる。
一 認定に係る事業場が第一項各号に掲げる事項のいずれかに適合しなくなつたと認めるとき。
二 不正の手段により認定又はその更新を受けたとき。
三 有機溶剤に係る法第二十二条及び第五十七条の三第二項の措置が適切に講じられていないと認めるとき。
8 前三項の場合における第一項第三号の規定の適用については、同号中「過去三年間に当該事業場の作業場所について行われた第二十八条の二第一項の規定による評価の結果が全て第一管理区分に区分された」とあるのは、「過去三年間の当該事業場の作業場所に係る作業環境が第二十八条の二第一項の第一管理区分に相当する水準にある」とする。