有機溶剤中毒予防規則 第5条~第13条の3
このページでは有機溶剤中毒予防規則(有機則) 第5条、 第6条、 第7条、 第8条、 第9条、 第10条、 第11条、 第12条、 第13条、 第13条の2、 第13条の3 を掲載しています。
(令和6年4月1日施行)
第二章 設備
(第一種有機溶剤等又は第二種有機溶剤等に係る設備)
第五条 事業者は、屋内作業場等において、第一種有機溶剤等又は第二種有機溶剤等に係る有機溶剤業務(第一条第一項第六号ヲに掲げる業務を除く。以下この条及び第十三条の二第一項において同じ。)に労働者を従事させるときは、当該有機溶剤業務を行う作業場所に、有機溶剤の蒸気の発散源を密閉する設備、局所排気装置又はプッシュプル型換気装置を設けなければならない。
(第三種有機溶剤等に係る設備)
第六条 事業者は、タンク等の内部において、第三種有機溶剤等に係る有機溶剤業務(第一条第一項第六号ヲに掲げる業務及び吹付けによる有機溶剤業務を除く。)に労働者を従事させるときは、当該有機溶剤業務を行う作業場所に、有機溶剤の蒸気の発散源を密閉する設備、局所排気装置、プッシュプル型換気装置又は全体換気装置を設けなければならない。
2 事業者は、タンク等の内部において、吹付けによる第三種有機溶剤等に係る有機溶剤業務に労働者を従事させるときは、当該有機溶剤業務を行う作業場所に、有機溶剤の蒸気の発散源を密閉する設備、局所排気装置又はプッシュプル型換気装置を設けなければならない。
(屋内作業場の周壁が開放されている場合の適用除外)
第七条 次の各号に該当する屋内作業場において、事業者が有機溶剤業務に労働者を従事させるときは、第五条の規定は、適用しない。
一 周壁の二側面以上、かつ、周壁の面積の半分以上が直接外気に向つて開放されていること。
二 当該屋内作業場に通風を阻害する壁、つい立その他の物がないこと。
(臨時に有機溶剤業務を行う場合の適用除外等)
第八条 臨時に有機溶剤業務を行う事業者が屋内作業場等のうちタンク等の内部以外の場所における当該有機溶剤業務に労働者を従事させるときは、第五条の規定は、適用しない。
2 臨時に有機溶剤業務を行う事業者がタンク等の内部における当該有機溶剤業務に労働者を従事させる場合において、全体換気装置を設けたときは、第五条又は第六条第二項の規定にかかわらず、有機溶剤の蒸気の発散源を密閉する設備、局所排気装置及びプッシュプル型換気装置を設けないことができる。
(短時間有機溶剤業務を行う場合の設備の特例)
第九条 事業者は、屋内作業場等のうちタンク等の内部以外の場所において有機溶剤業務に労働者を従事させる場合において、当該場所における有機溶剤業務に要する時間が短時間であり、かつ、全体換気装置を設けたときは、第五条の規定にかかわらず、有機溶剤の蒸気の発散源を密閉する設備、局所排気装置及びプッシュプル型換気装置を設けないことができる。
2 事業者は、タンク等の内部において有機溶剤業務に労働者を従事させる場合において、当該場所における有機溶剤業務に要する時間が短時間であり、かつ、送気マスクを備えたとき(当該場所における有機溶剤業務の一部を請負人に請け負わせる場合にあつては、当該場所における有機溶剤業務に要する時間が短時間であり、送気マスクを備え、かつ、当該請負人に対し、送気マスクを備える必要がある旨を周知させるとき)は、第五条又は第六条の規定にかかわらず、有機溶剤の蒸気の発散源を密閉する設備、局所排気装置、プッシュプル型換気装置及び全体換気装置を設けないことができる。
(局所排気装置等の設置が困難な場合における設備の特例)
第十条 事業者は、屋内作業場等の壁、床又は天井について行う有機溶剤業務に労働者を従事させる場合において、有機溶剤の蒸気の発散面が広いため第五条又は第六条第二項の規定による設備の設置が困難であり、かつ、全体換気装置を設けたときは、有機溶剤の蒸気の発散源を密閉する設備、局所排気装置及びプッシュプル型換気装置を設けないことができる。
(他の屋内作業場から隔離されている屋内作業場における設備の特例)
第十一条 事業者は、反応槽その他の有機溶剤業務を行うための設備が常置されており、他の屋内作業場から隔離され、かつ、労働者が常時立ち入る必要がない屋内作業場において当該設備による有機溶剤業務に労働者を従事させる場合において、全体換気装置を設けたときは、第五条又は第六条第二項の規定にかかわらず、有機溶剤の蒸気の発散源を密閉する設備、局所排気装置及びプッシュプル型換気装置を設けないことができる。
(代替設備の設置に伴う設備の特例)
第十二条 事業者は、次の各号のいずれかに該当するときは、第五条又は第六条第一項の規定にかかわらず、有機溶剤の蒸気の発散源を密閉する設備、局所排気装置、プッシュプル型換気装置及び全体換気装置を設けないことができる。
一 赤外線乾燥炉その他温熱を伴う設備を使用する有機溶剤業務に労働者を従事させる場合において、当該設備から作業場へ有機溶剤の蒸気が拡散しないように、発散する有機溶剤の蒸気を温熱により生ずる上昇気流を利用して作業場外に排出する排気管等を設けたとき。
二 有機溶剤等が入つている開放槽について、有機溶剤の蒸気が作業場へ拡散しないよう、有機溶剤等の表面を水等で覆い、又は槽の開口部に逆流凝縮機等を設けたとき。
(労働基準監督署長の許可に係る設備の特例)
第十三条 事業者は、屋内作業場等において有機溶剤業務に労働者を従事させる場合において、有機溶剤の蒸気の発散面が広いため第五条又は第六条第二項の規定による設備の設置が困難なときは、所轄労働基準監督署長の許可を受けて、有機溶剤の蒸気の発散源を密閉する設備、局所排気装置及びプッシュプル型換気装置を設けないことができる。
2 前項の許可を受けようとする事業者は、局所排気装置等特例許可申請書(様式第二号)に作業場の見取図を添えて、所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
3 所轄労働基準監督署長は、前項の申請書の提出を受けた場合において、第一項の許可をし、又はしないことを決定したときは、遅滞なく、文書で、その旨を当該事業者に通知しなければならない。
第十三条の二 事業者は、第五条の規定にかかわらず、次条第一項の発散防止抑制措置(有機溶剤の蒸気の発散を防止し、又は抑制する設備又は装置を設置することその他の措置をいう。以下この条及び次条において同じ。)に係る許可を受けるために同項に規定する有機溶剤の濃度の測定を行うときは、次の措置を講じた上で、有機溶剤の蒸気の発散源を密閉する設備、局所排気装置及びプッシュプル型換気装置を設けないことができる。 一 次の事項を確認するのに必要な能力を有すると認められる者のうちから確認者を選任し、その者に、あらかじめ、次の事項を確認させること。 イ 当該発散防止抑制措置により有機溶剤の蒸気が作業場へ拡散しないこと。 ロ 当該発散防止抑制措置が有機溶剤業務に従事する労働者に危険を及ぼし、又は労働者の健康障害を当該措置により生ずるおそれのないものであること。 二 当該発散防止抑制装置に係る有機溶剤業務に従事する労働者に送気マスク、有機ガス用防毒マスク又は有機ガス用の防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具を使用させること。 三 前号の有機溶剤業務の一部を請負人に請け負わせるときは、当該請負人に対し、送気マスク、有機ガス用防毒マスク又は有機ガス用の防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具を使用する必要がある旨を周知させること。 2 事業者は、前項第二号の規定により労働者に送気マスクを使用させたときは、当該労働者が有害な空気を吸入しないように措置しなければならない。
第十三条の三 事業者は、第五条の規定にかかわらず、発散防止抑制措置を講じた場合であつて、当該発散防止抑制措置に係る作業場の有機溶剤の濃度の測定(当該作業場の通常の状態において、法第六十五条第二項及び作業環境測定法施行規則(昭和五十年労働省令第二十号)第三条の規定に準じて行われるものに限る。以下この条及び第十八条の三において同じ。)の結果を第二十八条の二第一項の規定に準じて評価した結果、第一管理区分に区分されたときは、所轄労働基準監督署長の許可を受けて、当該発散防止抑制措置を講ずることにより、有機溶剤の蒸気の発散源を密閉する設備、局所排気装置及びプッシュプル型換気装置を設けないことができる。 2 前項の許可を受けようとする事業者は、発散防止抑制措置特例実施許可申請書(様式第五号)に申請に係る発散防止抑制措置に関する次の書類を添えて、所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。 一 作業場の見取図 二 当該発散防止抑制措置を講じた場合の当該作業場の有機溶剤の濃度の測定の結果及び第二十八条の二第一項の規定に準じて当該測定の結果の評価を記載した書面 三 前条第一項第一号の確認の結果を記載した書面 四 当該発散防止抑制措置の内容及び当該措置が有機溶剤の蒸気の発散の防止又は抑制について有効である理由を記載した書面 五 その他所轄労働基準監督署長が必要と認めるもの 3 所轄労働基準監督署長は、前項の申請書の提出を受けた場合において、第一項の許可をし、又はしないことを決定したときは、遅滞なく、文書で、その旨を当該事業者に通知しなければならない。 4 第一項の許可を受けた事業者は、第二項の申請書及び書類に記載された事項に変更を生じたときは、遅滞なく、文書で、その旨を所轄労働基準監督署長に報告しなければならない。 5 第一項の許可を受けた事業者は、当該許可に係る作業場についての第二十八条第二項の測定の結果の評価が第二十八条の二第一項の第一管理区分でなかつたとき及び第一管理区分を維持できないおそれがあるときは、直ちに、次の措置を講じなければならない。 一 当該評価の結果について、文書で、所轄労働基準監督署長に報告すること。 二 当該許可に係る作業場について、当該作業場の管理区分が第一管理区分となるよう、施設、設備、作業工程又は作業方法の点検を行い、その結果に基づき、施設又は設備の設置又は整備、作業工程又は作業方法の改善その他作業環境を改善するため必要な措置を講ずること。 三 当該許可に係る作業場については、労働者に有効な呼吸用保護具を使用させること。 四 事業者は、当該許可に係る作業場において作業に従事する者(労働者を除く。)に対し、有効な呼吸用保護具を使用する必要がある旨を周知させること。 6 第一項の許可を受けた事業者は、前項第二号の規定による措置を講じたときは、その効果を確認するため、当該許可に係る作業場について当該有機溶剤の濃度を測定し、及びその結果の評価を行い、並びに当該評価の結果について、直ちに、文書で、所轄労働基準監督署長に報告しなければならない。 7 所轄労働基準監督署長は、第一項の許可を受けた事業者が第五項第一号及び前項の報告を行わなかつたとき、前項の評価が第一管理区分でなかつたとき並びに第一項の許可に係る作業場についての第二十八条第二項の測定の結果の評価が第二十八条の二第一項の第一管理区分を維持できないおそれがあると認めたときは、遅滞なく、当該許可を取り消すものとする。