中小企業退職金共済法 第70条~第78条
このページでは中小企業退職金共済法(中退法) 第70条、 第71条、 第72条、 第73条、 第74条、 第75条、 第75条の2、 第75条の3、 第76条、 第77条、 第78条 を掲載しています。
(令和4年6月17日施行)
第六章 独立行政法人勤労者退職金共済機構
第五節 業務等
(業務の範囲)
第七十条 機構は、第五十八条の目的を達成するため、次の業務を行う。
一 退職金共済契約及び特定業種退職金共済契約に係る中小企業退職金共済事業を行うこと。
二 前号に掲げる業務に附帯する業務を行うこと。
2 機構は、前項に規定する業務のほか、第五十八条の目的を達成するため、次の業務を行う。
一 勤労者財産形成促進法第九条第一項に規定する業務を行うこと。
二 前号に掲げる業務に附帯する業務を行うこと。
(特定業種退職金共済規程)
第七十一条 機構は、特定業種退職金共済規程をもつて次に掲げる事項を規定しなければならない。
一 運営委員会に関する事項
二 特定業種退職金共済契約に係る掛金に関する事項
2 特定業種退職金共済規程の変更は、厚生労働大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
(業務の委託)
第七十二条 機構は、業務方法書で定めるところにより、金融機関又は事業主の団体に対し、退職金共済業務(事業主の団体に委託する場合にあつては、退職金共済契約に係る退職金等の支給に関する業務及び特定業種退職金共済契約に係る退職金の支給に関する業務を除く。)の一部を委託することができる。
2 機構は、厚生労働大臣の認可を受けて、第七十条第二項第一号に掲げる業務の一部を金融機関に委託することができる。
3 前二項に規定する者は、他の法律の規定にかかわらず、前二項の規定による委託を受け、当該業務を行うことができる。
4 第二項の規定により業務の委託を受けた金融機関(第七十八条の二第一項及び第九十条において「財形受託金融機関」という。)の役員及び職員であつて当該委託を受けた業務に従事するものは、刑法その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
(特定業種の指定に伴う措置)
第七十三条 厚生労働大臣が特定業種の指定をしたときは、当該特定業種に係る第七十条第一項第一号に掲げる業務の開始に必要な準備を行うため、機構に、準備委員会を置く。
2 準備委員会は、当該特定業種に属する事業を営む中小企業者(当該中小企業者が法人であるときは、その代表者)及び当該特定業種に係る機構の退職金共済業務の適正な運営に必要な学識経験を有する者のうちから厚生労働大臣が任命した委員(次項において「準備委員」という。)並びに理事長をもつて組織する。
3 機構は、準備委員会の議を経て、当該特定業種に係る第七十条第一項第一号に掲げる業務を開始するため、特定業種退職金共済規程の変更を行い、第七十一条第二項の認可を受けなければならない。
4 機構は、準備委員会の議を経て、当該特定業種に係る第七十条第一項第一号に掲げる業務を開始するため、当該業務を開始する事業年度の年度計画を変更しなければならない。
5 機構は、前項の規定により年度計画を変更し、通則法第三十一条第一項の規定に基づき厚生労働大臣に届け出たときは、当該特定業種に属する事業を営む中小企業者のうちから、共済契約者となろうとする者を募集しなければならない。
6 機構は、前項の規定による募集に応じた者の数が当該特定業種に属する事業を営む中小企業者の数に厚生労働省令で定める率を乗じて得た数に達したときは、厚生労働大臣に対し、当該特定業種に係る第七十条第一項第一号に掲げる業務の開始の認可を申請しなければならない。
7 第五項の規定による募集に応じた者と機構との間には、前項の認可があつた時において、当該特定業種に係る特定業種退職金共済契約が締結されたものとみなす。
8 前項の特定業種退職金共済契約は、機構が当該特定業種に係る第七十条第一項第一号に掲げる業務を開始する日にその効力を生ずるものとする。
(区分経理)
第七十四条 機構は、次に掲げる業務ごとに(第二号に掲げる業務にあつては、それぞれの特定業種に係る業務ごとに)経理を区分し、それぞれ勘定を設けて整理しなければならない。
一 一般の中小企業退職金共済業務(退職金共済業務のうち次号に掲げるもの以外のものをいう。)及びこれに附帯する業務
二 特定業種退職金共済業務及びこれに附帯する業務
三 第七十条第二項に規定する業務
2 機構は、第四十六条第一項又は第五十五条第一項若しくは第四項の規定により繰入れをする場合を除き、前項の規定により設けられている一の勘定から他の勘定への資金の融通を行つてはならない。
(積立金の処分)
第七十五条 機構は、通則法第二十九条第二項第一号に規定する中期目標の期間(以下この項において「中期目標の期間」という。)の最後の事業年度に係る通則法第四十四条第一項又は第二項の規定による整理を行つた後、同条第一項の規定による積立金があるときは、その額に相当する金額のうち厚生労働大臣の承認を受けた金額を、当該中期目標の期間の次の中期目標の期間に係る通則法第三十条第一項の認可を受けた中期計画(同項後段の規定による変更の認可を受けたときは、その変更後のもの)の定めるところにより、当該次の中期目標の期間における第七十条に規定する業務の財源に充てることができる。
2 機構は、前項に規定する積立金の額に相当する金額から同項の規定による承認を受けた金額を控除してなお残余があるときは、その残余の額のうち厚生労働省令で定めるところにより算定した額を国庫に納付しなければならない。
3 前二項に定めるもののほか、納付金の納付の手続その他積立金の処分に関し必要な事項は、政令で定める。
(借入金及び財形住宅債券)
第七十五条の二 機構は、第七十条第二項第一号に掲げる業務に必要な費用に充てるため、厚生労働大臣の認可を受けて、長期借入金をし、又は財形住宅債券を発行することができる。
2 機構は、第七十条第二項第一号に掲げる業務に必要な費用に充てるため短期借入金をする場合には、通則法第四十五条第一項の規定にかかわらず、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。
3 第一項の規定による財形住宅債券の債権者は、機構の財産について他の債権者に先立つて自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
4 前項の先取特権の順位は、民法(明治二十九年法律第八十九号)の規定による一般の先取特権に次ぐものとする。
5 機構は、厚生労働大臣の認可を受けて、長期借入金の借入れに関する事務の全部又は一部を厚生労働省令で定める金融機関に、財形住宅債券の発行に関する事務の全部又は一部を銀行、信託会社又は金融商品取引業を行う者に委託することができる。
6 会社法第七百五条第一項及び第二項並びに第七百九条の規定は、前項の規定により財形住宅債券の発行に関する事務について委託を受けた銀行、信託会社又は金融商品取引業を行う者について準用する。
7 前各項(第二項を除く。)に定めるもののほか、財形住宅債券に関し必要な事項は、政令で定める。
(償還計画)
第七十五条の三 機構は、毎事業年度、長期借入金及び財形住宅債券の償還計画を立てて、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。
(特別財産)
第七十六条 機構は、特定業種に属する事業の事業主が特定業種退職金共済契約によらないで拠出した財産については、これを他の財産と区分し、機構の退職金共済業務に係る事業で当該特定業種に係るものの健全な発展に資するように、管理し、及び運用しなければならない。
(余裕金の運用の特例)
第七十七条 機構は、退職金共済業務に係る業務上の余裕金を運用するに当たつては、次に掲げる方法以外の方法によつてはならない。
一 国債、地方債、政府保証債(その元本の償還及び利息の支払について政府が保証する債券をいう。)その他厚生労働大臣の指定する有価証券の取得
二 銀行その他厚生労働大臣の指定する金融機関への預金
三 信託業務を営む金融機関又は信託会社への信託(運用方法を特定する信託(金融商品取引業者(金融商品取引法第二条第九項に規定する金融商品取引業者をいう。)との投資一任契約(同条第八項第十二号ロに規定する契約をいう。)であつて政令で定めるものの締結によるものを除く。)については、厚生労働大臣の指定するものに限る。)
四 厚生労働大臣の指定する不動産の取得
五 被共済者を被保険者とする生命保険(特定業種余裕金以外の退職金共済業務に係る業務上の余裕金の運用にあつては被保険者の退職を、特定業種余裕金の運用にあつては被保険者が第四十三条第一項各号(同条第二項及び第三項の規定により適用する場合を含む。)に掲げる事由に該当することをそれぞれ保険金の支払事由とするものに限る。)の保険料の払込み
六 財政融資資金への預託
2 前項第三号の規定による信託の終了又は一部の解約により機構に帰属することとなる信託財産(金銭及び同項第一号に規定する有価証券を除く。)は、直ちに、同項第三号に掲げる方法により運用しなければならない。
3 退職金共済業務に係る業務上の余裕金の運用については、安全かつ効率的な運用を害しない範囲内で、できるだけ中小企業者の事業資金又はその従業員の福祉を増進するための資金に融通されるように配慮されなければならない。
4 機構の退職金共済業務については、通則法第四十七条の規定は、適用しない。
5 機構は、厚生労働省令で定めるところにより、一般の中小企業退職金共済業務及び特定業種退職金共済業務に係る業務上の余裕金を合同して運用することができる。
(余裕金の運用に関する基本方針等)
第七十八条 機構は、退職金共済業務に係る業務上の余裕金の運用に関して、運用の目的その他厚生労働省令で定める事項を記載した基本方針を作成し、当該基本方針に沿つて運用しなければならない。
2 前項の規定による基本方針は、この法律(これに基づく命令を含む。)その他の法令に反するものであつてはならない。
3 機構は、前条第一項第三号及び第五号に掲げる方法(政令で定める保険料の払込みを除く。)により運用する場合においては、当該運用に関する契約の相手方に対して、協議に基づき第一項の規定による基本方針の趣旨に沿つて運用すべきことを、厚生労働省令で定めるところにより、示さなければならない。