地方公営企業等の労働関係に関する法律 第1条~第17条
このページでは地方公営企業等の労働関係に関する法律(地公労法) 第1条、 第2条、 第3条、 第4条、 第5条、 第6条、 第7条、 第8条、 第9条、 第10条、 第11条、 第12条、 第13条、 第14条、 第15条、 第16条、 第16条の2、 第16条の3、 第17条 を掲載しています。
(平成28年4月1日施行)
(目的)
第一条 この法律は、地方公共団体の経営する企業及び特定地方独立行政法人の正常な運営を最大限に確保し、もつて住民の福祉の増進に資するため、地方公共団体の経営する企業及び特定地方独立行政法人とこれらに従事する職員との間の平和的な労働関係の確立を図ることを目的とする。
(関係者の責務)
第二条 地方公共団体におけるその経営する企業及び特定地方独立行政法人の重要性にかんがみ、この法律に定める手続に関与する関係者は、紛争をできるだけ防止し、かつ、主張の不一致を友好的に調整するために、最大限の努力を尽さなければならない。
(定義)
第三条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 地方公営企業 次に掲げる事業(これに附帯する事業を含む。)を行う地方公共団体が経営する企業をいう。
イ 鉄道事業
ロ 軌道事業
ハ 自動車運送事業
ニ 電気事業
ホ ガス事業
ヘ 水道事業
ト 工業用水道事業
チ イからトまでの事業のほか、地方公営企業法(昭和二十七年法律第二百九十二号)第二条第三項の規定に基づく条例又は規約の定めるところにより同法第四章の規定が適用される企業
二 特定地方独立行政法人 地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第二項に規定する特定地方独立行政法人をいう。
三 地方公営企業等 地方公営企業及び特定地方独立行政法人をいう。
四 職員 地方公営企業又は特定地方独立行政法人に勤務する一般職に属する地方公務員をいう。
(他の法律との関係)
第四条 職員に関する労働関係については、この法律の定めるところにより、この法律に定のないものについては、労働組合法(昭和二十四年法律第百七十四号)(第五条第二項第八号、第七条第一号ただし書、第八条及び第十八条の規定を除く。)及び労働関係調整法(昭和二十一年法律第二十五号)(第九条、第十八条、第二十六条第四項、第三十条及び第三十五条の二から第四十二条までの規定を除く。)の定めるところによる。
(職員の団結権)
第五条 職員は、労働組合を結成し、若しくは結成せず、又はこれに加入し、若しくは加入しないことができる。
2 労働委員会は、職員が結成し、又は加入する労働組合(以下「組合」という。)について、職員のうち労働組合法第二条第一号に規定する者の範囲を認定して告示するものとする。
3 地方公営企業等は、職を新設し、変更し、又は廃止したときは、速やかにその旨を労働委員会に通知しなければならない。
(組合のための職員の行為の制限)
第六条 職員は、組合の業務に専ら従事することができない。ただし、地方公営企業等の許可を受けて、組合の役員として専ら従事する場合は、この限りでない。
2 前項ただし書の許可は、地方公営企業等が相当と認める場合に与えることができるものとし、これを与える場合においては、地方公営企業等は、その許可の有効期間を定めるものとする。
3 第一項ただし書の規定により組合の役員としてもつぱら従事する期間は、職員としての在職期間を通じて五年(地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)第五十五条の二第一項ただし書の規定により職員団体の業務にもつぱら従事したことがある職員については、五年からそのもつぱら従事した期間を控除した期間)をこえることができない。
4 第一項ただし書の許可は、当該許可を受けた職員が組合の役員として当該組合の業務にもつぱら従事する者でなくなつたときは、取り消されるものとする。
5 第一項ただし書の許可を受けた職員は、その許可が効力を有する間は、休職者とし、いかなる給与も支給されず、また、その期間は、退職手当の算定の基礎となる勤続期間に算入されないものとする。
(団体交渉の範囲)
第七条 第十三条第二項に規定するもののほか、職員に関する次に掲げる事項は、団体交渉の対象とし、これに関し労働協約を締結することができる。ただし、地方公営企業等の管理及び運営に関する事項は、団体交渉の対象とすることができない。
一 賃金その他の給与、労働時間、休憩、休日及び休暇に関する事項
二 昇職、降職、転職、免職、休職、先任権及び懲戒の基準に関する事項
三 労働に関する安全、衛生及び災害補償に関する事項
四 前三号に掲げるもののほか、労働条件に関する事項
(条例に抵触する協定)
第八条 地方公共団体の長は、地方公営企業において当該地方公共団体の条例に抵触する内容を有する協定が締結されたときは、その締結後十日以内に、その協定が条例に抵触しなくなるために必要な条例の改正又は廃止に係る議案を当該地方公共団体の議会に付議して、その議決を求めなければならない。ただし、当該地方公共団体の議会がその締結の日から起算して十日を経過した日に閉会しているときは、次の議会に速やかにこれを付議しなければならない。
2 特定地方独立行政法人の理事長は、設立団体(地方独立行政法人法第六条第三項に規定する設立団体をいう。以下同じ。)の条例に抵触する内容を有する協定を締結したときは、速やかに、当該設立団体の長に対して、その協定が条例に抵触しなくなるために必要な条例の改正又は廃止に係る議案を当該設立団体の議会に付議して、その議決を求めるよう要請しなければならない。
3 前項の規定による要請を受けた設立団体の長は、その要請を受けた日から十日以内に、同項の協定が条例に抵触しなくなるために必要な条例の改正又は廃止に係る議案を当該設立団体の議会に付議して、その議決を求めるものとする。ただし、当該設立団体の議会がその要請を受けた日から起算して十日を経過した日に閉会しているときは、次の議会に速やかにこれを付議するものとする。
4 第一項又は第二項の協定は、第一項又は第二項の条例の改正又は廃止がなければ、条例に抵触する限度において、効力を生じない。
(規則その他の規程に抵触する協定)
第九条 地方公共団体の長その他の地方公共団体の機関は、地方公営企業において、当該地方公共団体の長その他の地方公共団体の機関の定める規則その他の規程に抵触する内容を有する協定が締結されたときは、速やかに、その協定が規則その他の規程に抵触しなくなるために必要な規則その他の規程の改正又は廃止のための措置をとらなければならない。
(予算上資金上不可能な支出を内容とする協定)
第十条 地方公営企業の予算上又は資金上、不可能な資金の支出を内容とするいかなる協定も、当該地方公共団体の議会によつて所定の行為がなされるまでは、当該地方公共団体を拘束せず、且つ、いかなる資金といえども、そのような協定に基いて支出されてはならない。
2 前項の協定をしたときは、当該地方公共団体の長は、その締結後十日以内に、事由を附しこれを当該地方公共団体の議会に付議して、その承認を求めなければならない。但し、当該地方公共団体の議会がその締結の日から起算して十日を経過した日に閉会しているときは、次の議会にすみやかにこれを付議しなければならない。
3 前項の規定により当該地方公共団体の議会の承認があつたときは、第一項の協定は、それに記載された日附にさかのぼつて効力を発生するものとする。
(争議行為の禁止)
第十一条 職員及び組合は、地方公営企業等に対して同盟罷業、怠業その他の業務の正常な運営を阻害する一切の行為をすることができない。また、職員並びに組合の組合員及び役員は、このような禁止された行為を共謀し、唆し、又はあおつてはならない。
2 地方公営企業等は、作業所閉鎖をしてはならない。
(前条の規定に違反した職員の身分)
第十二条 地方公共団体及び特定地方独立行政法人は、前条の規定に違反する行為をした職員を解雇することができる。
(苦情処理)
第十三条 地方公営企業等及び組合は、職員の苦情を適当に解決するため、地方公営企業等を代表する者及び職員を代表する者各同数をもつて構成する苦情処理共同調整会議を設けなければならない。
2 苦情処理共同調整会議の組織その他苦情処理に関する事項は、団体交渉で定める。
(調停の開始)
第十四条 労働委員会は、次に掲げる場合に、地方公営企業等の労働関係に関して調停を行う。
一 関係当事者の双方が調停の申請をしたとき。
二 関係当事者の双方又は一方が労働協約の定めに基づいて調停の申請をしたとき。
三 関係当事者の一方が調停の申請をなし、労働委員会が調停を行う必要があると決議したとき。
四 労働委員会が職権に基づいて調停を行う必要があると決議したとき。
五 厚生労働大臣又は都道府県知事が調停の請求をしたとき。
(仲裁の開始)
第十五条 労働委員会は、次に掲げる場合に、地方公営企業等の労働関係に関して仲裁を行う。
一 関係当事者の双方が仲裁の申請をしたとき。
二 関係当事者の双方又は一方が労働協約の定めに基づいて仲裁の申請をしたとき。
三 労働委員会が、その労働委員会においてあつせん又は調停を行つている労働争議について、仲裁を行う必要があると決議したとき。
四 労働委員会があつせん又は調停を開始した後二月を経過して、なお労働争議が解決しない場合において、関係当事者の一方が仲裁の申請をしたとき。
五 厚生労働大臣又は都道府県知事が仲裁の請求をしたとき。
(仲裁裁定)
第十六条 地方公営企業等とその職員との間に発生した紛争に係る仲裁裁定に対しては、当事者は、双方とも最終的決定としてこれに服従しなければならない。
2 地方公共団体の長は、地方公営企業とその職員との間に発生した紛争に係る仲裁裁定が実施されるように、できる限り努力しなければならない。ただし、当該地方公営企業の予算上又は資金上、不可能な資金の支出を内容とする仲裁裁定については、第十条の規定を準用する。
3 第八条第一項及び第四項の規定は当該地方公共団体の条例に抵触する内容を有する仲裁裁定について、第九条の規定は当該地方公共団体の規則その他の規程に抵触する内容を有する仲裁裁定について準用する。
4 設立団体は、特定地方独立行政法人がその職員との間に発生した紛争に係る仲裁裁定を実施した結果、その事務及び事業の実施に著しい支障が生ずることのないように、できる限り努力しなければならない。
5 第八条第二項から第四項までの規定は、当該設立団体の条例に抵触する内容を有する仲裁裁定について準用する。
(第五条第二項の事務の処理)
第十六条の二 第五条第二項の規定による労働委員会の事務の処理には、公益を代表する委員のみが参与する。
(不当労働行為の申立て等)
第十六条の三 第十二条の規定による解雇に係る労働組合法第二十七条第一項の申立てがあつた場合において、その申立てが当該解雇がなされた日から二月を経過した後になされたものであるときは、労働委員会は、同条第二項の規定にかかわらず、これを受けることができない。
2 第十二条の規定による解雇に係る労働組合法第二十七条第一項の申立て又は同法第二十七条の十五第一項若しくは第二項の再審査の申立てを受けたときは、労働委員会は、申立ての日から二月以内に命令を発するようにしなければならない。
(地方公営企業法の準用)
第十七条 地方公営企業法第三十八条並びに第三十九条第一項及び第三項から第六項までの規定は、地方公営企業(同法第四章の規定が適用されるものを除く。)に勤務する職員について準用する。
2 地方公営企業法第三十九条第二項の規定は、前項に規定する職員(同法第三十九条第二項の政令で定める基準に従い地方公共団体の長が定める職にある者を除く。)について準用する。