国民健康保険法 第110条~第120条
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(令和6年4月1日施行)
第十一章 雑則
(時効)
第百十条 保険料その他この法律の規定による徴収金を徴収し、又はその還付を受ける権利及び保険給付を受ける権利は、これらを行使することができる時から二年を経過したときは、時効によつて消滅する。
2 保険料その他この法律の規定による徴収金の徴収の告知又は督促は、時効の更新の効力を生ずる。
(賦課決定の期間制限)
第百十条の二 保険料の賦課決定は、当該年度における最初の保険料の納期(この法律又はこれに基づく条例の規定により保険料を納付し、又は納入すべき期限をいい、当該納期後に保険料を課することができることとなつた場合にあつては、当該保険料を課することができることとなつた日とする。次項において同じ。)の翌日から起算して二年を経過した日以後においては、することができない。
2 保険料の賦課決定をした後に、被保険者の責めに帰することのできない事由によつて被保険者に関する医療保険各法(健康保険法、船員保険法、国家公務員共済組合法、地方公務員等共済組合法又は私立学校教職員共済法をいう。)との間における適用関係の調整を要することが判明した場合における保険料の額を減少させる賦課決定は、前項の規定にかかわらず、当該年度における最初の保険料の納期の翌日から起算して二年を経過した日以後であつても、当該年度における最初の保険料の納期の翌日から起算して調整に必要と認められる期間に相当する期間を経過する日まですることができる。
(期間の計算)
第百十一条 この法律又はこの法律に基づく命令に規定する期間の計算については、民法(明治二十九年法律第八十九号)の期間に関する規定を準用する。
(被保険者記号・番号等の利用制限等)
第百十一条の二 厚生労働大臣、都道府県、市町村、組合、保険医療機関等、指定訪問看護事業者その他の国民健康保険事業又は当該事業に関連する事務の遂行のため被保険者記号・番号等(保険者番号(厚生労働大臣が国民健康保険事業において市町村又は組合を識別するための番号として、市町村又は組合ごとに定めるものをいう。)及び被保険者記号・番号(市町村又は組合が被保険者の資格を管理するための記号、番号その他の符号として、被保険者ごとに定めるものをいう。)をいう。以下この条において同じ。)を利用する者として厚生労働省令で定める者(以下この条において「厚生労働大臣等」という。)は、当該事業又は事務の遂行のため必要がある場合を除き、何人に対しても、その者又はその者以外の者に係る被保険者記号・番号等を告知することを求めてはならない。
2 厚生労働大臣等以外の者は、国民健康保険事業又は当該事業に関連する事務の遂行のため被保険者記号・番号等の利用が特に必要な場合として厚生労働省令で定める場合を除き、何人に対しても、その者又はその者以外の者に係る被保険者記号・番号等を告知することを求めてはならない。
3 何人も、次に掲げる場合を除き、その者が業として行う行為に関し、その者に対し売買、貸借、雇用その他の契約(以下この項において「契約」という。)の申込みをしようとする者若しくは申込みをする者又はその者と契約の締結をした者に対し、当該者又は当該者以外の者に係る被保険者記号・番号等を告知することを求めてはならない。
一 厚生労働大臣等が、第一項に規定する場合に、被保険者記号・番号等を告知することを求めるとき。
二 厚生労働大臣等以外の者が、前項に規定する厚生労働省令で定める場合に、被保険者記号・番号等を告知することを求めるとき。
4 何人も、次に掲げる場合を除き、業として、被保険者記号・番号等の記録されたデータベース(その者以外の者に係る被保険者記号・番号等を含む情報の集合物であつて、それらの情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したものをいう。)であつて、当該データベースに記録された情報が他に提供されることが予定されているもの(以下この項において「提供データベース」という。)を構成してはならない。
一 厚生労働大臣等が、第一項に規定する場合に、提供データベースを構成するとき。
二 厚生労働大臣等以外の者が、第二項に規定する厚生労働省令で定める場合に、提供データベースを構成するとき。
5 厚生労働大臣は、前二項の規定に違反する行為が行われた場合において、当該行為をした者が更に反復してこれらの規定に違反する行為をするおそれがあると認めるときは、当該行為をした者に対し、当該行為を中止することを勧告し、又は当該行為が中止されることを確保するために必要な措置を講ずることを勧告することができる。
6 厚生労働大臣は、前項の規定による勧告を受けた者がその勧告に従わないときは、その者に対し、期限を定めて、当該勧告に従うべきことを命ずることができる。
(報告及び検査)
第百十一条の三 厚生労働大臣は、前条第五項及び第六項の規定による措置に関し必要があると認めるときは、その必要と認められる範囲内において、同条第三項若しくは第四項の規定に違反していると認めるに足りる相当の理由がある者に対し、必要な事項に関し報告を求め、又は当該職員に当該者の事務所若しくは事業所に立ち入つて質問させ、若しくは帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
2 第四十五条の二第二項の規定は、前項の規定による質問又は検査について、同条第三項の規定は、前項の規定による権限について、それぞれ準用する。
(戸籍に関する無料証明)
第百十二条 市町村長(地方自治法第二百五十二条の十九第一項の指定都市にあつては、区長又は総合区長とする。)は、当該市町村の条例で定めるところにより、市町村若しくは組合又は保険給付を受ける者に対し、被保険者又は被保険者であつた者の戸籍に関し、無料で証明を行うことができる。
(文書の提出等)
第百十三条 市町村及び組合は、被保険者の資格、保険給付及び保険料に関して必要があると認めるときは、被保険者の属する世帯の世帯主若しくは組合員又はこれらであつた者に対し、文書その他の物件の提出若しくは提示を命じ、又は当該職員に質問させることができる。
(資料の提供等)
第百十三条の二 市町村は、被保険者の資格、保険給付及び保険料に関し必要があると認めるときは、被保険者の資格の取得及び喪失に関する事項、被保険者の保険給付を受けた事由が第三者の行為によつて生じたものであることを確認するために必要な事項、被保険者若しくは被保険者の属する世帯の世帯主の資産若しくは収入の状況又は国民年金の被保険者の種別の変更若しくは国民年金法の規定による保険料の納付状況につき、官公署に対し、必要な書類の閲覧若しくは資料の提供を求め、又は銀行、信託会社その他の機関若しくは被保険者の雇用主その他の関係者に報告を求めることができる。
2 市町村は、被保険者の資格に関し必要があると認めるときは、他の市町村、組合、第六条第一号から第三号までに掲げる法律の規定による保険者若しくは共済組合又は私立学校教職員共済法の規定により私立学校教職員共済制度を管掌することとされた日本私立学校振興・共済事業団に対し、他の市町村若しくは組合が行う国民健康保険の被保険者、健康保険若しくは船員保険の被保険者若しくは被扶養者、共済組合の組合員若しくは被扶養者又は私立学校教職員共済制度の加入者若しくは被扶養者の氏名及び住所、健康保険法第三条第三項に規定する適用事業所の名称及び所在地その他の必要な資料の提供を求めることができる。
(連合会又は支払基金への事務の委託)
第百十三条の三 保険者は、第四十五条第五項(第五十二条第六項、第五十二条の二第三項、第五十三条第三項及び第五十四条の二第十二項において準用する場合を含む。)に規定する事務のほか、次に掲げる事務を第四十五条第五項に規定する連合会又は支払基金に委託することができる。
一 第四章の規定による保険給付の実施、第七十六条第一項又は第二項の規定による保険料の徴収、第八十二条第一項の規定による保健事業の実施その他の厚生労働省令で定める事務に係る情報の収集又は整理に関する事務
二 第四章の規定による保険給付の実施、第七十六条第一項又は第二項の規定による保険料の徴収、第八十二条第一項の規定による保健事業の実施その他の厚生労働省令で定める事務に係る情報の利用又は提供に関する事務
2 保険者は、前項の規定により同項各号に掲げる事務を委託する場合は、他の社会保険診療報酬支払基金法第一条に規定する保険者及び法令の規定により医療に関する給付その他の事務を行う者であつて厚生労働省令で定めるものと共同して委託するものとする。
(関係者の連携及び協力)
第百十三条の四 国、都道府県、市町村及び組合並びに保険医療機関等その他の関係者は、電子資格確認の仕組みの導入その他手続における情報通信の技術の利用の推進により、医療保険各法等(高齢者の医療の確保に関する法律第七条第一項に規定する医療保険各法及び高齢者の医療の確保に関する法律をいう。)その他医療に関する給付を定める法令の規定により行われる事務が円滑に実施されるよう、相互に連携を図りながら協力するものとする。
(診療録の提示等)
第百十四条 厚生労働大臣又は都道府県知事は、保険給付に関して必要があると認めるときは、医師、歯科医師、薬剤師若しくは手当を行つた者又はこれを使用する者に対し、その行つた診療、薬剤の支給又は手当に関し、報告若しくは診療録、帳簿書類その他の物件の提示を命じ、又は当該職員に質問させることができる。
2 厚生労働大臣又は都道府県知事は、必要があると認めるときは、療養の給付又は入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、訪問看護療養費若しくは特別療養費の支給を受けた被保険者又は被保険者であつた者に対し、当該療養の給付又は入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、訪問看護療養費若しくは特別療養費の支給に係る診療、調剤又は指定訪問看護の内容に関し、報告を命じ、又は当該職員に質問させることができる。
(準用規定)
第百十五条 第百六条第二項の規定は、第百十三条及び前条の規定による質問について、第百六条第三項の規定は、第百十三条及び前条の規定による権限について準用する。
(修学中の被保険者の特例)
第百十六条 修学のため一の市町村の区域内に住所を有する被保険者であつて、修学していないとすれば他の市町村の区域内に住所を有する他人と同一の世帯に属するものと認められるものは、この法律の適用については、当該他の市町村の区域内に住所を有するものとみなし、かつ、当該世帯に属するものとみなす。
(病院等に入院、入所又は入居中の被保険者の特例)
第百十六条の二 次の各号に掲げる入院、入所又は入居(以下この条において「入院等」という。)をしたことにより、当該各号に規定する病院、診療所又は施設(以下この条において「病院等」という。)の所在する場所に住所を変更したと認められる被保険者であつて、当該病院等に入院等をした際他の市町村(当該病院等が所在する市町村以外の市町村をいう。)の区域内に住所を有していたと認められるものは、この法律の適用については、当該他の市町村の区域内に住所を有するものとみなす。ただし、二以上の病院等に継続して入院等をしている被保険者であつて、現に入院等をしている病院等(以下この条において「現入院病院等」という。)に入院等をする直前に入院等をしていた病院等(以下この項において「直前入院病院等」という。)及び現入院病院等のそれぞれに入院等をしたことにより直前入院病院等及び現入院病院等のそれぞれの所在する場所に順次住所を変更したと認められるもの(次項において「特定継続入院等被保険者」という。)については、この限りでない。
一 病院又は診療所への入院
二 児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第七条第一項に規定する児童福祉施設への入所(同法第二十七条第一項第三号又は同法第二十七条の二の規定による入所措置がとられた場合に限る。)
三 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成十七年法律第百二十三号)第五条第十一項に規定する障害者支援施設又は同条第一項の主務省令で定める施設への入所
四 独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園法(平成十四年法律第百六十七号)第十一条第一号の規定により独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園の設置する施設への入所
五 老人福祉法(昭和三十八年法律第百三十三号)第二十条の四又は第二十条の五に規定する養護老人ホーム又は特別養護老人ホームへの入所(同法第十一条第一項第一号又は第二号の規定による入所措置がとられた場合に限る。)
六 介護保険法第八条第十一項に規定する特定施設への入居又は同条第二十五項に規定する介護保険施設への入所
2 特定継続入院等被保険者のうち、次の各号に掲げるものは、この法律の適用については、当該各号に定める市町村の区域内に住所を有するものとみなす。
一 継続して入院等をしている二以上の病院等のそれぞれに入院等をすることによりそれぞれの病院等の所在する場所に順次住所を変更したと認められる被保険者であつて、当該二以上の病院等のうち最初の病院等に入院等をした際他の市町村(現入院病院等が所在する市町村以外の市町村をいう。)の区域内に住所を有していたと認められるもの 当該他の市町村
二 継続して入院等をしている二以上の病院等のうち一の病院等から継続して他の病院等に入院等をすること(以下この号において「継続入院等」という。)により当該一の病院等の所在する場所以外の場所から当該他の病院等の所在する場所への住所の変更(以下この号において「特定住所変更」という。)を行つたと認められる被保険者であつて、最後に行つた特定住所変更に係る継続入院等の際他の市町村(現入院病院等が所在する市町村以外の市町村をいう。)の区域内に住所を有していたと認められるもの 当該他の市町村
3 前二項の規定の適用を受ける被保険者が入院等をしている病院等は、当該病院等の所在する市町村及び前二項の規定によりその区域内に当該被保険者が住所を有するものとみなされた市町村に、必要な協力をしなければならない。
(読替規定)
第百十七条 この法律中「都道府県知事」とあるのは、その区域が二以上の都道府県の区域にまたがる連合会については、「厚生労働大臣」と読み替えるものとする。
(権限の委任)
第百十八条 この法律に規定する厚生労働大臣の権限は、厚生労働省令で定めるところにより、地方厚生局長に委任することができる。
2 前項の規定により地方厚生局長に委任された権限は、厚生労働省令で定めるところにより、地方厚生支局長に委任することができる。
(厚生労働大臣と都道府県知事との連携)
第百十九条 第四十一条第一項(第五十二条第六項、第五十二条の二第三項、第五十三条第三項及び第五十四条の三第二項において準用する場合を含む。)及び第二項(第四十五条の二第四項、第五十二条第六項、第五十二条の二第三項、第五十三条第三項及び第五十四条の三第二項において準用する場合を含む。)、第四十五条の二第一項(第五十二条第六項、第五十二条の二第三項、第五十三条第三項及び第五十四条の三第二項において準用する場合を含む。)、第五十四条の二の二(第五十四条の三第二項において準用する場合を含む。)、第五十四条の二の三第一項(第五十四条の三第二項において準用する場合を含む。)並びに第百十四条の規定により、厚生労働大臣又は都道府県知事がこれらの規定に規定する事務を行うときは、相互に密接な連携の下に行うものとする。
(事務の区分)
第百十九条の二 第十七条第一項及び第三項(第二十七条第三項において準用する場合を含む。)、第二十四条の四、第二十四条の五、第二十五条第一項、第二十七条第二項及び第四項、第三十二条第二項、第三十二条の二第二項、第三十二条の七第一項及び第二項(同条第三項において準用する場合を含む。)、第三十二条の十二、第四十一条第一項(第五十二条第六項、第五十二条の二第三項、第五十三条第三項及び第五十四条の三第二項において準用する場合を含む。)及び第二項(第四十五条の二第四項、第五十二条第六項、第五十二条の二第三項、第五十三条第三項及び第五十四条の三第二項において準用する場合を含む。)、第四十五条第三項並びに第四十五条の二第一項及び第五項(これらの規定を第五十二条第六項、第五十二条の二第三項、第五十三条第三項及び第五十四条の三第二項において準用する場合を含む。)、第五十四条の二の二並びに第五十四条の二の三第一項及び第三項(これらの規定を第五十四条の三第二項において準用する場合を含む。)、第八十条第一項、第八十八条並びに第八十九条第一項の規定により都道府県が処理することとされている事務、第百六条第一項(第二号に係る部分に限る。)、第百七条(第二号に係る部分に限る。)及び第百八条の規定により都道府県が処理することとされている事務のうち組合に係るもの並びに第百十四条の規定により都道府県が処理することとされている事務は、地方自治法第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務とする。
(実施規定)
第百二十条 この法律に特別の規定があるものを除くほか、この法律の実施のための手続その他その執行について必要な細則は、厚生労働省令で定める。