確定給付企業年金法施行規則 第24条~第36条
このページでは確定給付企業年金法施行規則(DB法施行規則) 第24条、 第24条の2、 第24条の3、 第24条の4、 第25条、 第25条の2、 第26条、 第27条、 第28条、 第29条、 第30条、 第31条、 第32条、 第32条の2、 第32条の3、 第33条、 第34条、 第35条、 第36条 を掲載しています。
(令和6年5月27日施行)
第三章 給付
(令第二十三条第二項の厚生労働省令で定める要件)
第二十四条 令第二十三条第二項の厚生労働省令で定める要件は、障害給付金の支給が、通常の予測を超えて発生した場合の確定給付企業年金の財政への影響を勘案し、実績等に照らして合理的に見込まれるものであることとする。
(令第二十三条第三項の厚生労働省令で定める要件)
第二十四条の二 令第二十三条第三項の厚生労働省令で定める要件は、遺族給付金の支給が、通常の予測を超えて発生した場合の確定給付企業年金の財政への影響を勘案し、実績等に照らして合理的に見込まれるものであることとする。
(給付の現価相当額の計算方法)
第二十四条の三 令第二十三条第四項の規定による現価相当額の計算の基礎となる予定利率及び予定死亡率は、次のとおりとする。
一 予定利率は、次のイからハまでに掲げる場合の区分に応じ、それぞれイからハまでに定める率(受託保証型確定給付企業年金にあっては、契約者価額の計算に用いる予定利率)
イ 令第二十三条第一項第一号の現価相当額を計算する場合 次に掲げる率のうち最も低い率
(1) 前回の財政計算(財政再計算及び第四十九条第一号から第三号までの規定による掛金の額の計算をいう。以下同じ。)の計算基準日(第四十九条及び第五十七条第一項に規定する計算基準日をいう。以下同じ。)以降の日における第四十三条第二項第一号の厚生労働大臣が定める率(以下「下限予定利率」という。)のうち、最も低い下限予定利率
(2) 法第三十六条第二項に規定する老齢給付金支給開始要件(以下「老齢給付金支給開始要件」という。)を満たしたときにおける(1)に掲げる率
(3) 加入者の資格を喪失したときにおける(1)に掲げる率
ロ 令第二十三条第一項第二号の現価相当額を計算する場合 イ(1)に掲げる率(ただし、老齢給付金(法第二十九条第一項第一号に規定する老齢給付金をいう。以下同じ。)の額の算定において、加入者の資格を喪失したときから老齢給付金支給開始要件を満たすまでの期間の全部又は一部について、下限予定利率を下回る利率(当該期間に応ずる利子に相当する額を加算しない場合にあっては、零)を用いる場合は、当該下回る利率を用いる期間ごとの当該下回る利率)
ハ イ又はロに掲げる場合以外の場合 イ(1)に掲げる率
二 予定死亡率は、前回の財政計算において用いた予定死亡率とすること。
(予想額の現価の計算方法)
第二十四条の四 令第二十三条第四項の規定による予想額の現価の計算は、第四十三条第一項に規定する基礎率を用い、事業年度の末日及び第四十九条に規定する計算基準日において計算するものとする。
(給付の額のその他の算定方法)
第二十五条 令第二十四条第一項第四号の厚生労働省令で定める方法は、次の各号のいずれかの方法(第六十五条に規定する簡易な基準に基づく確定給付企業年金の場合にあっては、第一号から第三号までのいずれかの方法)とする。
一 令第二十四条第一項第一号から第三号までの方法を組み合わせた方法
二 令第二十四条第一項第一号から第三号まで及び前号の方法のうち、二つの方法により算定した額について、高い額又は低い額のいずれか規約で定める額とする方法
三 令第二十四条第一項第一号から第三号まで及び前二号の方法を組み合わせた方法
四 令第二十四条第一項第一号から第三号まで及び前三号の方法により算定した額(次条において「調整前給付額」という。)に次条に規定する調整率(以下「調整率」という。)を乗じた額とする方法
(調整率)
第二十五条の二 調整率は、リスク分担型企業年金を開始する日の属する事業年度以降の事業年度について、次のとおり定められるものとする。
一 リスク分担型企業年金を開始するとき又はリスク分担型企業年金を実施している場合であって給付の設計を変更するとき(掛金の額に係る規約の変更を行う場合に限る。)における調整率は一・〇とする。
二 毎事業年度の決算及び財政計算を行うときに、次に掲げる場合の区分に応じ、次に定める基準を満たすように改定するものとする。
イ 積立金の額に第四十五条第四項に規定するリスク分担型企業年金掛金額の予想額の現価に相当する額を加えた額(以下この条において「給付財源」という。)が調整前給付額の通常の予測に基づく予想額の現価に相当する額(以下この条において「調整前給付現価相当額」という。)に財政悪化リスク相当額(第四十三条第一項に規定する財政悪化リスク相当額をいう。以下この条において同じ。)を加えた額を上回る場合 給付財源と通常予測給付額の現価に相当する額に財政悪化リスク相当額を加えた額が同額となること。
ロ 給付財源が調整前給付額の通常の予測に基づく予想額の現価に相当する額を下回る場合 給付財源と通常予測給付額の現価に相当する額が同額となること。
ハ イ及びロ以外の場合 調整率が一・〇となること。
三 前号の調整率の改定は、当該事業年度の末日又は当該財政計算の計算基準日の属する事業年度の翌事業年度又は翌々事業年度以降の事業年度の調整率について行うものとし、当該翌事業年度又は翌々事業年度以降五事業年度については、調整率を段階的に引き上げ又は引き下げることができる。
2 リスク分担型企業年金を実施する事業主等が、その実施事業所を減少させる場合であって当該減少に伴い当該リスク分担型企業年金の積立割合(調整前給付現価相当額に対する給付財源の割合をいう。以下同じ。)、調整率又は超過比率(調整前給付現価相当額に対する給付財源から調整前給付現価相当額と財政悪化リスク相当額の二分の一の額とを合算した額を控除した額の比率をいう。以下同じ。)が減少すると見込まれるときには、前項の規定にかかわらず、積立割合、調整率又は超過比率が減少しないよう、当該実施事業所の減少に伴い資格を喪失する加入者に係る調整率を別に定めることができる。
(規約で定める数値の算定方法)
第二十六条 令第二十四条第一項第一号及び第二号の規約で定める数値は、年金として支給する場合の標準的な給付の額に係る数値を一・〇とし、かつ、当該標準的な給付との支給開始時における受給権者の年齢、支給期間、保証期間(令第二十三条第一項第一号に規定する保証期間をいう。以下同じ。)(保証期間を定めた場合に限る。)及び次条に規定するもの(次項において「給付額算定基礎」という。)の相違に応じて定めるものとする。
2 令第二十四条第一項第三号の規約で定める数値は、支給する給付ごとの給付額算定基礎に応じて定めるものとする。
3 前二項の数値の算定の基礎となる予定利率及び予定死亡率は、次のとおりとする。
一 予定利率は、前回の財政計算の計算基準日以降の日における下限予定利率のうち、最も低い下限予定利率を下回らないものであること。ただし、令第二十四条第一項第三号に掲げる給付の額の算定方法を用いて同条第三項の年金として支給される給付の額の改定を行う場合その他これに類する場合にあっては、零を下回らないものとすることができる。
二 予定死亡率は、前回の財政計算において用いた予定死亡率とすること。ただし、予定死亡率を当該確定給付企業年金の加入者等及びその遺族の死亡の実績及び予測に基づき合理的に定めたものとすることを規約に定めた場合にあっては、当該合理的に定めたものとすることができる。
(規約で定める数値のその他の算定基礎)
第二十七条 令第二十四条第二項の厚生労働省令で定めるものは、次のとおりとする。
一 加入者の資格を喪失した者が当該資格を喪失したときから老齢給付金支給開始要件を満たすまでの期間(老齢給付金の額に当該期間に応ずる利子に相当する額を加算することとなっている場合に限る。この場合において、当該利子については前条第三項第一号の規定を適用しない。)
二 老齢給付金の受給権者が死亡した場合にその遺族(法第四十八条に規定する遺族給付金(法第二十九条第二項第二号に規定する遺族給付金をいう。以下同じ。)を受けることができる遺族をいう。以下同じ。)に支給される遺族給付金の給付の設計(老齢給付金の受給権の裁定のときに、当該老齢給付金の受給権者の死亡によりその遺族に支給されるべき遺族給付金の給付の設計を選択できる場合に限る。)
三 加入者の資格を喪失した事由
四 加入者の資格を喪失した日における当該加入者の年齢
五 加入者である期間(以下「加入者期間」という。)
(給付の額の再評価等の方法)
第二十八条 令第二十四条第一項第三号の再評価は、規約で定める期間ごとに、次条第一項各号に掲げるもの(以下「指標」という。)を用いて行うものとする。
2 令第二十四条第三項の額の改定は、次のいずれかの方法により行うものとする。
一 給付の支給を開始して一定の期間が経過したとき又は一定の年齢に達したときに、次のいずれかの方法により改定する方法
イ 定率を乗じる方法
ロ 令第二十四条第一項各号のいずれかの方法(当該給付の額を算定した方法を除く。)
二 規約で定める期間ごとに、次のいずれかの加算を行うことにより改定する方法
イ 前の期間の給付の額に、当該前の期間の給付の額に指標を乗じて得た額を加算すること。
ロ あらかじめ定めた給付の額に、規約で定める期間、指標を第二十六条第三項第一号の予定利率とみなして算定するとした場合における給付の額があらかじめ定めた給付の額を上回る額その他これに類する額を加算すること(当該指標が第二十六条第三項第一号の予定利率を上回る場合に限る。)。
三 給付の支給を開始した後に加入者期間の全部又は一部により給付の額を改定する方法
(給付の額の再評価等に用いる率)
第二十九条 令第二十四条第四項に規定する厚生労働省令で定めるものは、次のとおりとする。ただし、同条第一項第三号に掲げる給付の額の算定方法を用いて給付の額を計算する場合にあっては、次の各号のいずれの率に基づき再評価を行う場合でも、当該再評価後の累計額が、当該再評価を行わなかった場合の累計額を下回ってはならない。
一 定率
二 国債の利回りその他の客観的な指標であって、合理的に予測することが可能なもの
三 積立金の運用利回りの実績
四 前三号に掲げる率を組み合わせたもの
五 前三号に掲げる率にその上限又は下限を定めたもの
(老齢給付金について一時金を選択することができる特別の事情)
第三十条 令第二十九条第三号の厚生労働省令で定める特別の事情は、次のとおりとする。
一 受給権者又はその属する世帯の生計を主として維持する者が、震災、風水害、火災その他これらに類する災害により、住宅、家財又はその他の財産について著しい損害を受けたこと。
二 受給権者がその債務を弁済することが困難であること。
三 受給権者が心身に重大な障害を受け、又は長期間入院したこと。
四 その他前三号に準ずる事情
(加入者又は加入者であった者の責めに帰すべき重大な理由)
第三十一条 令第三十四条第二号の加入者又は加入者であった者の責めに帰すべき重大な理由として厚生労働省令で定めるものは、次のとおりとする。
一 窃取、横領、傷害その他刑罰法規に触れる行為により、事業主に重大な損害を加え、その名誉若しくは信用を著しく失墜させ、又は実施事業所の規律を著しく乱したこと。
二 秘密の漏えいその他の行為により職務上の義務に著しく違反したこと。
三 正当な理由がない欠勤その他の行為により実施事業所の規律を乱したこと又は事業主との雇用契約に関し著しく信義に反する行為があったこと。
(給付を制限するその他の場合)
第三十二条 令第三十四条第二号の厚生労働省令で定める場合は、加入者であった者が実施事業所に使用されなくなった後に前条各号のいずれかに該当していたことが明らかになった場合その他これに準ずる場合とする。
(脱退一時金相当額等の移換に係る者に支給する給付)
第三十二条の二 資産管理運用機関又は基金(以下「資産管理運用機関等」という。)が法第八十一条の二第二項、第八十二条の六第一項又は第九十一条の二十七第二項の規定により脱退一時金相当額等(脱退一時金相当額、個人別管理資産、中小企業退職金共済法第十七条第一項に規定する解約手当金に相当する額、同法第三十一条の四第一項に規定する解約手当金に相当する額又は積立金を総称する。以下この条及び次条において同じ。)の移換を受けた者に事業主等が支給する一時金(年金として支給する老齢給付金の支給を開始した後に支給する一時金を除く。)の額は、当該確定給付企業年金の規約で定める方法により計算した額又は当該移換を受けた脱退一時金相当額等の額(リスク分担型企業年金の場合にあっては当該脱退一時金相当額等の額に移換を受けたときの調整率及び一時金の支給の請求をしたときの調整率に応じて規約で定めるところにより算定した率を乗じた額)のいずれか高い額とする。
(脱退一時金相当額の支給の特例)
第三十二条の三 資産管理運用機関等が移換を受けた脱退一時金相当額等に係る者が法第二十七条第二号から第五号までのいずれかに該当することとなった場合において、当該者が法第四十一条第一項の脱退一時金を受けるための要件を満たさない場合にあっては、同項の規定にかかわらず、事業主等は、当該者に対して資産管理運用機関等が移換を受けた脱退一時金相当額等の額(リスク分担型企業年金の場合にあっては当該脱退一時金相当額等の額に移換を受けたときの調整率及び法第二十七条第二号から第五号までのいずれかに該当することとなったときの調整率に応じて規約で定めるところにより算定した率を乗じた額)を支給しなければならない。
(給付の裁定の請求)
第三十三条 法第三十条第一項の規定による給付の裁定の請求は、受給権者の氏名、性別、生年月日及び住所を記載した請求書に、次に掲げる書類(生年月日について、法第九十三条の規定により事業主等から情報の収集に関する業務を委託された連合会が住民基本台帳法(昭和四十二年法律第八十一号)第三十条の九の規定により当該受給権者に係る機構保存本人確認情報(同法第三十条の七第四項に規定する機構保存本人確認情報をいう。)の提供を受けることにより確認が行われた場合にあっては、第一号に掲げる書類を除く。)を添付して、事業主等に提出することによって行うものとする。
一 生年月日に関する市町村長(特別区の区長を含むものとし、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市にあっては、区長又は総合区長とする。以下同じ。)の証明書又は戸籍の抄本その他の生年月日を証する書類
二 その他規約で定める給付の支給を受けるための要件を満たすことを証する書類
2 障害給付金(法第二十九条第二項第一号に規定する障害給付金をいう。以下同じ。)の請求に当たっては、前項の請求書に、同項各号の書類及び次に掲げる書類を添付するものとする。
一 障害の状態の程度に関する医師又は歯科医師の診断書その他障害の状態が規約で定める程度の障害の状態に該当することを証する書類
二 当該障害に係る法第四十三条第一項第一号に規定する初診日を明らかにすることができる書類(当該書類を添えることができないときは、当該初診日を証するのに参考となる書類)
3 遺族給付金の請求に当たっては、第一項の請求書に法第四十七条に規定する給付対象者(以下「給付対象者」という。)の氏名、性別及び生年月日を記載し、かつ、同項各号の書類及び次に掲げる書類を添付するものとする。
一 死亡した給付対象者と請求者との身分関係を明らかにすることができる市町村長の証明書又は戸籍の抄本(請求者が婚姻の届出をしていないが、死亡した給付対象者の死亡の当時事実上婚姻関係と同様の事情にあった者であるときは、その事実を証する書類)その他当該事実を証する書類
二 請求者が法第四十八条第三号に該当する者である場合にあっては、請求者が死亡した給付対象者の死亡の当時主としてその収入によって生計を維持していたことを証する書類
(未支給の給付の請求)
第三十四条 令第二十六条第一項の規定による未支給給付(以下この条において「未支給給付」という。)の支給の請求は、請求者の氏名、性別、生年月日及び住所並びに死亡した受給権者の氏名、性別及び生年月日を記載した請求書に、次に掲げる書類を添付して、事業主等に提出することによって行うものとする。この場合において、請求者が同条第三項の規定に該当する者であるときは、併せて、前条の例により給付の裁定の請求書を事業主等に提出しなければならない。
一 死亡した受給権者と請求者との身分関係を明らかにすることができる市町村長の証明書又は戸籍の抄本(請求者が婚姻の届出をしていないが死亡した受給権者の死亡の当時事実上婚姻関係と同様の事情にあった者であるときは、その事実を証する書類)その他当該事実を証する書類
二 請求者が法第四十八条第三号に該当する者である場合にあっては、請求者が死亡した受給権者の死亡の当時主としてその収入によって生計を維持していたことを証する書類
三 その他規約で定める未支給給付を受けるための要件を満たすことを証する書類
(年金として支給する老齢給付金の支給を開始して五年を経過する前に一時金を請求する場合の書類)
第三十五条 老齢給付金の受給権者が、令第二十九条第三号の規定に基づき、年金として支給する老齢給付金の支給を開始してから五年を経過する前に一時金として支給する老齢給付金の支給を請求する場合にあっては、第三十条各号の特別な事情があることを明らかにすることができる書類を事業主等に提出しなければならない。
(給付に関する通知等)
第三十六条 事業主等は、法第三十条第一項の規定による受給権の裁定その他給付に関する処分をしたときは、速やかに、その内容を請求者又は受給権者に通知しなければならない。