確定給付企業年金法施行規則 第53条~第66条

【DB法施行規則】
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(令和6年5月27日施行)

第五章 積立金の積立て及び運用
第一節 積立金の積立て

(責任準備金の額)

第五十三条 責任準備金の額は、当該事業年度の末日における通常予測給付額の現価と財政悪化リスク相当額を合算した額から、掛金の額(標準掛金額及び補足掛金額を合算した額又はリスク分担型企業年金掛金額をいう。第三項において同じ。)の現価に相当する額と財政悪化リスク相当額に対応するために追加的に拠出されることとなる掛金の額の予想額(同項において「追加拠出可能額」という。)の現価に相当する額を合算した額を控除した額とする。

 前項の予想額の現価の計算は、前回の財政計算の基礎率を用いて行うものとする。

 追加拠出可能額の現価に相当する額は、財政悪化リスク相当額からリスク充足額(積立金の額と掛金の額の予想額の現価を合算した額から通常予測給付額の現価に相当する額を控除した額(当該額が零未満となる場合にあっては零とする。)をいう。)を控除した額(当該額が零未満となる場合にあっては零とする。)とする。

(最低保全給付の計算方法)

第五十四条 令第三十七条第五号及び第六号に定める加入者が老齢給付金又は脱退一時金(法第四十一条第二項第一号に係るものに限る。以下この条において同じ。)を受けるための要件を満たした場合に支給されることとなる当該老齢給付金及び当該脱退一時金のうち当該加入者の当該事業年度の末日までの加入者期間に係る分の額は、次に掲げる方法又はこれらに準ずる方法により計算するものとする。

 当該加入者が加入者の資格を喪失する標準的な年齢に達した日において加入者の資格を喪失する場合に支給されることとなる老齢給付金の額又は脱退一時金の額に、加入者が加入者の資格を取得した日から当該標準的な年齢に達するまでの加入者期間のうち当該事業年度の末日までの加入者期間に係る分として定めた率を乗ずる方法

 当該事業年度の末日において当該加入者が加入者の資格を喪失した場合に支給されることとなる老齢給付金の額(第二十七条第一号の加算を行うこととなっている場合にあっては、当該加算を行わないものとして計算した額)又は脱退一時金の額に当該加入者の年齢に応じて定めた率を乗ずる方法

 法第二十八条第三項の規定に基づく加入者となる前の期間の加入者期間への算入又は給付の額の増額(以下この項において「給付改善等」という。)を行う場合にあっては、令第三十七条各号に定める加入者等の当該事業年度の末日までの加入者期間に係る給付として規約で定めるもの(以下「最低保全給付」という。)の額は、当該給付改善等により増加する給付の額に、当該給付改善等に係る規約が効力を有することとなる日から当該事業年度の末日までの年数(その期間に一年に満たない端数がある場合にあっては、これを切り捨てるものとする。)を五から減じた数(当該数が零未満となる場合にあっては、零とする。)を五で除して得た数を乗じて得た額を、前項の規定に基づき計算した額から控除した額とすることができる。

(最低積立基準額)

第五十五条 法第六十条第三項の厚生労働省令で定めるところにより算定した額の計算の基礎となる予定利率及び予定死亡率は、次のとおりとする。

 予定利率は、当該事業年度の末日(当該事業年度の末日が一月一日から三月三十一日までの間にある場合にあっては、前事業年度の末日)の属する年前五年間に発行された国債(期間三十年のものに限る。)の利回りを勘案して厚生労働大臣が定める率とする。

 予定死亡率は、基準死亡率に、加入者等が男子である場合にあっては〇・八六を、加入者等が女子である場合にあっては〇・八六を、それぞれ乗じて得た率とする。

 令第二十四条第一項第三号の再評価及び同条第三項の額の改定を行う場合(第二十五条の規定により令第二十四条第一項第三号の方法を組み合わせている場合を含む。)にあっては、規約で定めるところにより、法第六十条第三項の現価の算定において、当該再評価及び額の改定に用いる指標の予測を計算の基礎とするものとする。

 リスク分担型企業年金を実施している場合にあっては、法第六十条第三項の現価の算定において、積立金の額を第一項に規定する予定利率及び予定死亡率並びに前項に規定する指標の予測を算定の基礎とするならば算定されることとなる法第六十条第三項の現価で除して得た率を計算の基礎とするものとする。

(責任準備金の額に照らして算定した額)

第五十六条 法第六十二条の厚生労働省令で定めるところにより算定した額は、当該事業年度の末日における責任準備金の額から、次のいずれかの額を控除した額とする。

 法第六十二条の規定に基づき掛金の額を再計算する場合における当該再計算による掛金の額の引上げが可能な範囲として、次に掲げるところにより、当該事業年度以後二十年間における標準掛金額の予想額の現価に規約で定める率を乗じて得た額

 標準掛金額の予想額の現価は、第四十三条第二項第一号の規定に基づき定めた予定利率を用いて計算すること。

 規約で定める率は百分の十五を超えないこと。

 当該事業年度の末日における責任準備金の額に時価による積立金の額の変動を勘案して規約で定める率(ただし、当該率は百分の十五(第四十八条第一項第二号の方法により積立金の額を評価する場合にあっては、百分の十)を超えてはならない。)を乗じて得た額

 前二号の方法により計算した額のうちいずれか小さい額

(積立不足が生じたことによる財政再計算)

第五十七条 法第六十二条の規定に基づく財政再計算は、当該事業年度の末日を計算基準日として行うものとする。

 当該財政再計算の結果に基づく掛金の額の算定は、遅くとも当該事業年度の翌々事業年度の初日までに行われるものとする。

(積立不足に伴い拠出すべき掛金の額)

第五十八条 法第六十三条の厚生労働省令で定めるところにより算定した額は、次条第一項前段の規定により翌事業年度の掛金の額に追加して拠出する場合にあっては第一号の額以上第二号の額以下の範囲内で規約で定める額とする。

 次の表の上欄に掲げる当該事業年度の末日における積立比率(積立金の額の最低積立基準額(法第五十八条第二項及び法第六十二条に規定する場合に当該事業年度の末日までを計算基準日として掛金の額の再計算を行ったときは、当該再計算に基づく最低積立基準額に相当する額(当該再計算に係る給付を法第六十条第三項に規定する給付として同項の規定の例により計算した額をいう。)とする。以下この条及び第六十二条において同じ。)に対する比率をいう。以下この項及び次条において同じ。)の区分に応じて同表の下欄に定める額

積立比率
〇・八未満 積立金の額が最低積立基準額を下回る額(以下この表において「不足額」という。)から最低積立基準額に〇・二を乗じて得た額を控除した額を五で除して得た額に、最低積立基準額に六十分の一を乗じて得た額を加算した額
〇・八以上〇・九未満 不足額から最低積立基準額に〇・一を乗じて得た額を控除した額を十で除して得た額に、最低積立基準額に百五十分の一を乗じて得た額を加算した額
〇・九以上一・〇未満 不足額に十五分の一を乗じて得た額

 積立金の額が最低積立基準額を下回る額

 前項の規定は、次条第一項前段の規定により翌々事業年度の掛金の額に追加して拠出する場合について準用する。この場合において、前項中「翌事業年度」とあるのは「翌々事業年度」と、「積立金の額」とあるのは「積立金の額から当該事業年度の翌事業年度における最低積立基準額の見込額から当該事業年度の最低積立基準額を控除した額を控除した額に翌事業年度における積立金の増加見込額を加算した額(積立金の額が減少することが見込まれる場合にあっては積立金の減少見込額を控除した額)」と、「この項及び次条」とあるのは「この項」と読み替えるものとする。

 前項の翌々事業年度の掛金の額に追加して拠出する場合において、第四十六条第一項第四号の規定により特別掛金額を計算しているときは、翌事業年度における掛金の額に代えて、翌々事業年度における掛金の額又は同項第一号の規定に基づき特別掛金額を計算するものとした場合の翌々事業年度における掛金の額を用いて、前項の翌事業年度における積立金の増加見込額又は減少見込額を算定することができる。

(積立不足に伴う掛金の拠出方法)

第五十九条 法第六十三条の規定による掛金の拠出は、翌事業年度又は翌々事業年度の掛金の額に追加してすることとする。この場合において、事業主は、規約で定めるところにより、翌事業年度の掛金の額に追加して拠出するときは前条第一項の規定に基づき規約で定める額を、翌々事業年度の掛金の額に追加して拠出するときは同条第二項の規定に基づき規約で定める額を、掛金の額に追加して拠出しなければならない。

 前項の規定にかかわらず、前条第二項において準用する同条第一項第二号の額が零以下である場合及び当該事業年度の末日における積立比率が〇・九以上であって、かつ、当該事業年度の前三事業年度のうち少なくとも二事業年度の積立比率が一・〇以上である場合にあっては、前項の規約で定める額を拠出しないものとすることができる。

(積立上限額を超える場合の掛金の控除額)

第六十条 法第六十四条第一項の厚生労働省令で定めるところにより算定した額は、次のいずれかの額とする。

 当該事業年度の末日において積立金の額が法第六十四条第二項に規定する積立上限額(以下「積立上限額」という。)を上回った額のうち未だ控除していない額に、当該未だ控除していない額に係る当該事業年度の末日から控除する日までの期間に応ずる利子に相当する額(以下この条において「利子相当額」という。)を加算した額又は控除前の掛金の額のいずれか小さい額

 次条第一号の控除を開始するときから当該事業年度の翌々事業年度の末日までの期間において、積立金の額が積立上限額を上回った額と当該上回った額に係る利子相当額の合計額を掛金の額から均等に控除する場合の額又は控除前の掛金の額のいずれか小さい額

 前項の利子相当額の計算に用いる利率は、当該事業年度の末日における下限予定利率とする。

(掛金の控除の方法)

第六十一条 法第六十四条第一項の掛金の額からの控除は、規約で定めるところにより、前条の規定により算定した額を次のとおり控除するものとする。

 遅くとも当該事業年度の翌々事業年度の最初に拠出する掛金の額から控除を開始すること。

 掛金の一部を加入者が負担している場合にあっては、当該掛金の額からの控除後に加入者が負担する掛金の額が当該加入者に係る当該掛金の額からの控除後の掛金の額の二分の一を超えないこと。

(積立上限額の算定方法)

第六十二条 当該事業年度の末日における積立上限額は、次のいずれか大きい額に一・五を乗じて得た額とする。

 次の要件を満たす基礎率を用いて計算した当該事業年度の末日における数理債務の額

 予定利率は、当該事業年度の末日における下限予定利率とすること。

 予定死亡率は、基準死亡率に、次に掲げる加入者、加入者であった者又はその遺族等の区分に応じそれぞれ定める率を乗じた率とすること。

(1) 加入者 零

(2) 男子であって、加入者であった者又はその遺族((4)に掲げる者を除く。) 〇・七二

(3) 女子であって、加入者であった者又はその遺族((4)に掲げる者を除く。) 〇・七二

(4) 障害給付金の受給権者 一・〇((1)に掲げる者を除く。)

 その他の基礎率は、前回の財政計算で用いた基礎率とすること。

 当該事業年度の最低積立基準額

(積立金の額の評価)

第六十三条 法第六十二条及び法第六十四条第一項並びに第五十三条の積立金の額は、第四十八条第一項の規定による掛金の額の計算に用いる積立金の額の評価の方法を用いて計算するものとする。

 法第六十三条及び第五十五条の積立金の額は、時価で評価するものとする。

(積立金の額が給付に関する事業に要する費用に不足する場合の取扱い)

第六十四条 当該事業年度において積立金の額が零となることが見込まれる場合にあっては、事業主は、規約で定めるところにより、当該事業年度中における給付に関する事業に要する費用に充てるため必要な額を掛金として追加して拠出することができる。

(簡易な基準に基づく確定給付企業年金の最低積立基準額)

第六十五条 第五十二条第一項から第三項までの規定に基づき掛金の額を計算した確定給付企業年金(以下「簡易な基準に基づく確定給付企業年金」という。)の最低積立基準額は、第五十五条の規定にかかわらず、当該事業年度の末日における数理債務の額に、当該確定給付企業年金の掛金の額の計算基準日を法第六十条第三項に規定する事業年度の末日とみなして同項の規定に基づき計算した最低積立基準額を当該計算基準日における数理債務の額で除して得た率を乗じて得た額とすることができる。ただし、受託保証型確定給付企業年金である場合においては、当該事業年度の末日における数理債務の額に基づき合理的に計算した額とすることができる。

(簡易な基準に基づく確定給付企業年金の積立上限額)

第六十六条 簡易な基準に基づく確定給付企業年金の積立上限額は、第六十二条の規定にかかわらず、当該事業年度の末日における数理債務の額に、当該確定給付企業年金の掛金の額の計算基準日を同条に規定する事業年度の末日とみなして同条の規定に基づき計算した積立上限額を当該計算基準日における数理債務の額で除して得た率を乗じて得た額とすることができる。

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