体感教育の重要性を指摘 労災減少に向けビジョン検討 厚労省
「安全から元気を起こす懇」設置
厚生労働省は、小林正夫厚生労働大臣政務官と有識者5人による「安全から元気を起こす懇談会」を立ち上げ、1月26日にJFEスチール㈱東日本製鉄所(神奈川・川崎市)で第1回会合を開いた(写真)。昨年の死亡労働災害が前年から大幅に増加したことを受け、産業現場で自主的活動の活性化を図り、労災減少のためのビジョンを検討する狙い。
意見交換のなかでは、若年者への教育手法や安全活動に意欲的な企業を評価する仕組み、安全活動のマンネリ化を防ぐ現場の創意工夫などが課題に挙がった。
教育のあり方については、野中労務安全事務所の野中格所長が、「最近は事故の減少で、何が危険なのか分からない人も少なくない」と指摘。座学だけでなく危険を実感できる体感型教育の重要性を訴えた。また参集者からは、大学や高校カリキュラムで産業安全についても教育すべきとの意見が多くみられた。
企業の取組みを評価する観点では、安全に意欲的に取り組む企業に対するインセンティブがテーマになり、㈱三菱総合研究所の野口和彦理事から「事故を起こさない企業の法人税を優遇するなどの制度があっても良いのでは」とする意見もあった。
意見交換後、小林政務官はJFEスチール東日本製鉄所の熱延工場と同社が設置している体感教育設備を視察し、「社内表彰や墜落防止設備など、安全対策にしっかりと力を注いでいる」と取組みを評価。また、「厚労省だけで進められない課題には、政府全体として取り組んでいく必要がある」とした。
懇談会は年度内に3回程開く予定。