オルト―トルイジン防止措置義務付けへ 厚労省報告書
厚生労働省は、「化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会報告書」を公表した。オルト―トルイジンを規制対象とし、同物質の製造・取扱い業務について、健康障害防止措置を義務付ける必要があるとした。今後オルト―トルイジンに関しては、事業者に対し、作業環境測定や特殊健康診断の実施などに加えて、不浸透性の保護衣、保護手袋などの使用が義務付けされる見通し。今回の報告書の内容を踏まえて、厚労省は関係法令の改正を行う予定だ。
検討結果によると、オルト―トルイジンと同物質を含む製剤その他の物の製造、または取り扱う業務について、事業者に対して「特定化学物質予防規則」の「特定第2類物質」への措置と同じ規制が必要と指摘。作業環境測定の実施、発散抑制措置、特殊健康診断の実施などとともに、同物質に対する不浸透性の保護衣、保護手袋、保護長靴、保護眼鏡を労働者に使用させることなどを義務付けるよう求めている。また、有害性を考慮して、事業者に特定化学物質障害予防規則の特別管理物質への措置と同じ作業の記録の保存(30年間)なども義務化するべきとした。
関係法令の改正に関しては、今年11月ころに公布する見込みで、平成29年1月に施行となる予定。
日本産業衛生学会、ACGIH(米国産業衛生専門家会議)などでは、オルト―トルイジンは、「経皮吸収が大きく全身に健康影響を及ぼす」とされ、福井県の化学工場での膀胱がん発症に関する調査でも、「長期間にわたり労働者の皮膚から吸収されていたことが示唆されている」という。