シールド工事の留意事項を示す 岡山の出水事故で
2012.09.15
【安全スタッフ ニュース】
厚生労働省は水底下の地盤を掘削するシールドトンネル工事の施工にあたり、当面の間留意しておく事項を全国建設業協会などの関係業界団体へ通達した。
施工時の留意事項として、切羽までの距離が100mに達するまでに1回、その後6カ月以内ごとに1回の避難・消火の訓練を実施するよう求めている。落盤・出水などによる急迫した危険があるときは、直ちに作業を中止し、人命確保を最優先とすることとした。
また、シールドマシンによる掘進中は職員を管理室に常駐させることや、掘進管理システムを導入してリアルタイムでデータを計測して異常に備えることなども指示している。
海や河川の水底下は大量出水の恐れがあり、地山の掘削以上に危険が大きいという。今回の通達は、今年2月に岡山県で発生した海底トンネルの異常出水事故を受け国交省が設置した「シールドトンネル施工技術安全向上協議会」の中間報告を受け、労災防止の観点からの留意点をまとめたもので、止水のためテールグリスを適切な量とすることや、セグメント(シールド工法で使われるリング状の覆工材)同士をつなぐ継ぎ手を強固なものとするなど、設計・製造時に考慮すべき事項にまで踏みこんだ内容となっている。
一定規模以上のトンネル工事では工事計画届を厚労大臣や労基署長へ提出する必要があるが、今後は計画届の審査時にも通達で示した内容を確認する方針だ。また、今後詳しい事故の原因が特定されれば、法令の整備を含めて対応を考えたいとしている。
平成24年9月15日第2170号 掲載