【特集1】労災訴訟高額事例を振りかえる 和解2億4000万円が最高額 賠償額の上昇は頭打ちに
2012.03.15
【安全スタッフ 特集】
労災問題研究所は、2011年末現在までの労働災害と職業病に関連する判決・和解の高額事例をまとめた。現在までの最高額は和解の2億4000万円となっている。労災問題研究所の稲垣昭雄所長によると、昨年1年間で上位20事例に食い込んだのは1事例だけで、「賠償額上昇の山場はほぼ通り過ぎたという見方ができる」という。年代ごとの賠償額の動向解説とともに、最高額となった「2億4000万円和解」の過労死事案を紹介してもらった。
訴訟事件公表について昨今の動向
ここ2年間の民事損害賠償事件の動向を新聞、テレビ、法律関係の雑誌などでできる限り収集したところ次のようになった。
平成22年は、判決(有額のみ)23件でその平均額は約4018万円、和解は9件で同約5831万円、提訴は16件で同約7572万円。平成23年は、判決が18件で約3553万円、和解が7件で約2358万円、提訴が12件で約6047万円となっている。
この程度しか把握できないのだが、実際はこんなものではない。提訴件数は全国で少なくとも200件前後はあるはずである。というのは、最高裁判所事務総局は2001年度まで「特殊損害賠償第一審訴訟事件処理調べ」という調査結果を毎年発表していたが、「個人情報保護法」を根拠に公表を止めてしまった。
この調査によると、…
執筆:労災問題研究所 所長 稲垣 昭雄
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平成24年3月15日第2158号 掲載