【特集】大事故を経験に 本当の安全知る 有償にした保護具で意識高める/飯田製作所
「KYを学んだ、リスクマネジメントも勉強して修了証書をもらった。これで安全を確保できた」と安心する会社は、意外と多い。ここに大きな“落とし穴”があって、こうした会社では災害が発生することがある。㈱飯田製作所(茨城・猿島郡)も安全教育を実施したのに、その直後に右手親指先端を切断する大事故が起きてしまった。セミナーを受講しただけで分かった気になっていたことを痛感した同社では、勉強したことを生かすため、社長を筆頭に社員全員が本気で安全に取り組むこととなった。「安全教育を行ったから安心」という考え方は危険で、たまたま災害が発生していないと考えるべきだ。
サンダーによる被災が頻繁に
同社は、鉄・ステンレス・アルミの薄物板金加工業者で、医療・薬品関連のタンクや水槽、トラックの排ガス規制使用マフラーなどの「気密溶接・排気部品」、職人の叩き出し成形で球面形状やアール形状に仕上げる「叩き板金」、厳しい寸法公差が要求される難易度の高い溶接組立ての「配電盤・精密フレーム」をメーンにしている。作業者17人の所帯ながら高い技術力を誇り、顧客の信頼も厚い。
しかしながら、そんな同社でも押し寄せる不景気の波には勝てず、2009年には仕事が薄く営業もなかなかうまくいかない状況にあった。世間でもリストラを実施したり事業場規模を縮小したりするといった声を耳にした。
そこで、同社では仕事が減ったからといって作業者に休んでもらっては士気が低下することから、緊急対応型のワークシェアリングを考えた。この間に緊急雇用助成金を活用して全員で勉強をしようと決めた。…
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