【特集1】危険の大きさでKYを使い分け 開発から深化する取組み/住友金属工業 鹿島製鉄所
KYT(危険予知訓練)ほど全国的に関心を呼び急速に普及したケースはほかに見当たらないといわれている。KYは住友金属工業㈱で開発され、中央労働災害防止協会のゼロ災運動のメーンのノウハウとして組み込まれ、広まってきた経緯がある。そのKYの“元祖”の同社鹿島製鉄所では、危険度の大きさによってKYを使い分けていることが分かった。開発からさらに深化し続けるKYの今後の行方を探った。
きっかけは1枚のイラスト
日本でのKYの誕生のきっかけとなったのは1973年、中災防が派遣した欧米安全衛生視察団のなかに同社和歌山製鉄所の労務部長がいた。その部長がブリュッセル郊外の化学会社を訪問した時、たまたまそこに掛けてあった1枚のイラストチャート(下画像)を目にした。
そのイラストはオートバイが直進中、前方に乗用車が停車しており、右前方から対向車もやってくる。その時、オートバイのドライバーにとって、「どんな危険があるか」を考えさせる極めて素朴な内容だったとされる。
危険に対する感受性を高める新しい安全教育になると考えプロジェクトチームを発足、翌年の1974年には「どんな危険があるか」「あなたならどうする」という2ラウンド方式の手法を用いたKYTを開発した(下画像)。その後、KYTは鉄鋼各社に広がり、中災防のゼロ災運動の主要なノウハウとして組み込まれ安全衛生管理に不可欠な活動として、全国的に急速に普及する結果となった。…
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