【特集2】メンタルヘルス不全の予防へ 求められるキャリアカウンセリング(上)

2012.07.01 【安全スタッフ 特集】
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 メンタルヘルス不全の陰には、キャリアに関する問題が存在する――。こう指摘するのは法政大学の宮城まり子教授。仕事にやりがいを感じ、組織や社会の役に立っているなど、働き方に関する「キャリア」の支援を積極的に行うことで、メンタルヘルス不全の予防に効果があるという。本誌では、今号と次号の2回にわたって宮城教授にキャリアカウンセリングについて解説してもらう。

「自己効力感」を育てる

 仕事は人生の中で大きな意味をもち、人生の価値や意味を左右する重要な要因である。人が仕事に費やすエネルギーは人生の中核の膨大な時間を占めている。もし携わっている仕事にやりがいを感じ、仕事を通して組織や社会の役に立っていることを実感でき、自分の存在感を感じることができたら、人は働くことや生きることに意味を感じ、さらに働くことに動機づけられることになるだろう。

 しかし反対に、仕事にやりがいが得られない、自分が生かされず評価されない・認められない、今後の見通しがつかないとしたら、どのような気持ちになるだろう。精神的充実感を感じられず、将来に対し不安を抱くのではないだろうか。

 ここでの仕事や働き方に関係する事を総合的に「キャリア」(career)と考えるとすると、キャリアの問題は、働く人の心のあり方に大きな影響を与えることは明らかである。もし、キャリアに充実感や満足感を得ることができない場合、次第に仕事に対するやる気や意欲を失い、今後の自分のキャリアに関する不安を一人で抱え込むことになるだろう。長期に一人で悩み苦しむほど、次第にメンタルヘルスが悪化することが予測される。

 メンタルヘルス不全を予防するための効果的な方法は、単にメンタルヘルスの知識を与えるだけではなく、むしろ個々のキャリアに関係する問題解決支援(キャリア支援)を積極的に行うことが効果的であると考える。

 人を育て・能力を開発する機能をもつ「キャリアカウンセリング」は、抱えるキャリア問題の解決支援を積極的に行うことにより、メンタルヘルス不全の予防を可能とする。キャリアカウンセリングを通して、キャリア問題の解決を支援し、今後のキャリア形成への見通しを立てる(キャリア形成計画、キャリア開発計画を行う)ことは、働く人々に「自己効力感」(自分はやればできるだろうという肯定的な予測)を育てることなる。

キャリア充実感の6因子

 キャリアはまさに「アイデンティティ」(自分とは何か)そのものである。自分を語るものの中でキャリアは個人の「核」となるものといえる。核となるキャリアに充実感を得ることができるか否かは、メンタルヘルスを左右する要因であり、その違いは仕事への意欲、生産性、成果に大きく影響を与える。

 筆者は「キャリア充実感」は6つの因子からなることを研究から導き出した。そのキャリア充実感の6因子とは、…

執筆:法政大学キャリアデザイン学部教授 臨床心理士 宮城 まり子

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平成24年7月1日第2165号 掲載
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