【特集1】交通KYT定着に使える道具を用意 ミキサー車の運転向上は自問自答から/関東生コン輸送協会
建設現場まで90分で納入しなければならないというタイトな納期を持つ生コン輸送。迅速にしかも安全に生コンを運ぶミキサー車の運転レベルは、常に高いスキルが要求される。ミキサー車の事故件数は多くないものの、横転事故や死亡事故が発生すると大々的に報道される傾向がある。こうしたこともあって、関東生コン輸送協会では交通KYTを定着させるため、「交通自問自答カード1人KYT」「安全運転手帳」「交通安全ミーティングシナリオ訓練集」といった研修後にも使える“道具”で交通KYTの定着を図る。普段は1人作業の多いドライバーも研修を通じて仲間意識も生まれたという。
事故総件数のわずか0.1%
関東生コン輸送協会の前身となる「生コンクリート安全輸送協力会」が昭和35年に設立された。同38年に発展的改組し、現在の名称となった。
同協会の目的は、会員相互の連絡協調によって、事業経営の安定および生コンクリート輸送に関する業界の発展向上を図るもの、となっている。会員数は30社で車両台数は550台を有する。
安全活動については、経営者向け交通安全セミナーを年1回、管理者・運転者向け交通KYT研修会を年6回に加え、交通安全情報の通知なども行っている。
建設業界にとって生コン会社はなくてはならない存在だが、混ぜられた生コンは製造開始から90分以内に排出しないといけない規定がある。これが、生コン業界の“掟”でもある。
そのため、遠距離の運搬は不可能なため、生コン工場は全国各地に散らばっており、工場数は減ってきてはいるものの、その数は3500(2011年度末)を超えるといわれる。制限された時間のなかで迅速にしかも安全に運搬しなければいけない特殊事情があるわけだ。
こうした状況を踏まえると、ミキサー車の事故率は高いように思えるかもしれない。警視庁がまとめた平成18年の東京都の用途車両別交通事故実績では、事故総件数7万4287件のうち、ミキサー車が第一当事者の交通事故は76件(軽傷者82人)とわずか0.1%にとどまっている。
時差出勤制で全体朝礼が困難
では、なぜ同協会が交通KYTに力を注ぐのか。ミキサー車が横転事故や巻き込み事故などで死亡事故を発生させると…
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