【特集】ゼロ災運動が売上増に連動 社員満足度で安全意識アップ/アステム

2012.08.01 【安全スタッフ 特集】
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 必要なのは分かっているが、中小企業なので安全衛生に時間と費用をかけられない――。よく聞く言葉だが、そんな声を吹き飛ばす会社がある。㈱アステム(宮城・角田市)は従業員数61人の所帯ながらも信用度調査で宮城県内全産業2万社中、6位にランクインする実績を持ち、ゼロ災運動取組み以降、3年連続で10%を超える売上げとなった。安全衛生活動は単独でとらえるべきではなく、生産活動と一体でなければならないとし、その根底にゼロ災運動があると位置づけている。また、これまでの顧客満足度主義から社員満足度主義へ転換したところ、従業員の安全衛生意識が格段に向上した。

レスポンスのいい製造業へ

 アステムは空調用吹出口、吸込口、ダンパー、排煙口、フィルターなど空調用付属機器の製造販売を行っている。製品在庫を一切持たず、どんな半端なサイズや色でも受注後、中2日で発送する体制を整え、「短納期、低価格、高品質」のスローガンのもと、レスポンスのいい製造業を目指し、生産活動を展開。販売エリアは、首都圏を中心に北海道から沖縄までをカバーしている。

 同社が親会社の倒産という苦境から回復したのも、短納期をセールスポイントに徹底した「顧客満足度主義」を貫いたことが大きな要因となった。

従業員意識調査でがく然!

 そんな同社があるきっかけで、平成14年に厚生労働省方式社内コミュニケーション診断(RCS)、いわゆる従業員意識調査を実施。その結果について、同社の野口敬志社長は「がく然としましたね。賞与もきちっと支払ってましたからまさかこんな結果になるとは…。従業員のモラールの低さが浮き彫りになり、怒りがわいてきて調査結果を持つ手が震えているのが自分でも分かりました。とくに安全衛生の項目は、これ以下はないという最低の評価でした」と当時を振り返る。

 野口社長の手を震わせた従業員の「自由意見」の一例をあげると、「会社、社長の方針が現場まで伝わってこない」「幹部同士の意見が食い違っている」「査定の基準が不明確」「意見を提言しても変わるような気がしない」など――。48件の自由意見のうち、野口社長を救った2つの意見があった。「IT機器の導入など積極性が見られる」「このような調査をするのは会社が社員のことを考えてくれている証だ」とする評価だ。

 この貴重な意見を裏切ってはならないという思いの一方で、従業員の帰属意識の低い状態では会社の発展は望めないとの危機感を強めた。そこで評価のなかでも最も低かった安全衛生管理を通して、従業員とのコミュニケーションを良くし、「人づくり」を推進しようと決意したという。

 これまでの顧客満足度主義から一転して、社員満足度ナンバーワンを目指す企業を宣言した。社員満足度主義の本気度をうかがわせるこんなエピソードがある。

 ある日、…

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平成24年8月1日第2167号 掲載
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