退職扱い無効と判断 がん治療後の復職で 名古屋地裁
2018.03.15
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胃がんによる休職からの復職が認められず退職させられたとして、名港陸運㈱(愛知県知多市)の労働者が訴えた裁判で、名古屋地方裁判所は、休職事由が消滅しているとして、同労働者の訴えを認めた。
トレーラーの運転者として30年近いの経験を持つ同労働者は、平成26年3月に胃がんと宣告され、手術を受け7月に退院した。また、同社は8月、治療に専念させるため、上限を1年2カ月とする休職命令を出した。
27年8月、同労働者は主医師の診断書を提出し復職を申し入れ、9月、同社取締役と面談した。定時内の8時間であれば就労可能などと伝えたほか、同社も半日勤務にするなど経過措置を採ると話した。産業医も、「手術後1年経過すれば、症状も安定し就労できる」としていた。しかし、その後同社から連絡がなく、10月、休職満了につき退職と言い渡された。
寺本昌広裁判官は、退職無効と判示した。業務の負荷について、同労働者の運転者としての経験や、経過措置を講じるとする同社の発言から、特段過重ではないと判断。就労可能とする主治医や産業医の意見も踏まえ、休職満了日までに、従来の業務を健康時と同程度に遂行できる程に回復していたとした。
9月の面談以降、連絡をとっておらず、結果的にいきなり退職を通知することになった点を考慮し、慰謝料30万円も認めている。