【特集1】中災防 第70回全国産業安全衛生大会 産業安全運動開始から100年 安全文化構築へ議論深まる 心新たにし英知集結を
中央労働災害防止協会(米倉弘昌会長)は10月12~14日、第70回全国産業安全衛生大会を東京で開催した。今年は産業安全運動開始から100年の記念の年にあたる。「本大会を契機に全ての関係者が心を新たにして、安全・健康・快適な職場づくりに向けて英知と力を結集する」と大会宣言が採択された。初日の総合集会では、100年記念したシンポジウムとして、東日本大震災や過去の災害事例を踏まえながら、企業のなかで安全文化をどのように築いていくかを討論。また、2日目からは11の分科会に分かれ、企業が安全衛生活動の事例などを発表。集まった計8300人の参加者が好事例に耳を傾けた。
マニュアルのメリット、デメリット 企業での危機管理を考える 産業安全運動100年記念シンポジウム
(写真左から) コーディネーター: シンポジスト: (敬称略) |
守るため、されど変えるため
久谷:安全文化を社員一人ひとりにどう浸透させていくか、マニュアルが守られているか、実践されているかという側面と、しかしながらマニュアルだけではダメで独立した「個」が必要というお話が先ほどみなさんからありましたが、マニュアルについて畑村先生はどのようにお考えでしょうか。
畑村:マニュアルは別の面でみると、知見の集積といえるもので、自分で気づかないのに仕事ができるということです。分からないようなときでも経験の集積があって導いてくれます。
ところが、ある想定のなかでやっていればいいんですが、条件が変わると正しくないやり方となります。「マニュアルは守るためにある。されど変えるためにある」といえるでしょう。
合ってはいるけれどどう変えるか、想定された範囲は守るべきだが、外れた場合はどうなるかを考えるべきでしょう。その時に、自分の仕事は何か、やるべきことは?を念頭に置く必要があります。
久谷:柳田先生に、現実としてマニュアルをどう安全衛生活動に生かすかということをお話ください。
柳田:まず、マニュアルはアメリカのように人種が混在するところでは、…
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