80時間の残業を新規評価項目に 精神障害の労災認定 厚労省
2011.12.01
【安全スタッフ ニュース】
厚生労働省は、うつ病など精神障害の労災を認定する際の判断基準としている心理的負荷評価表を見直す。「極度の長時間労働」として月160時間残業などの基準を検討していたもの(10月1日号ニュース欄で既報)。
専門家による検討会報告書では、月残業時間の具体的な基準や心理的負荷(ストレス)発生の原因となる出来事の具体例を盛り込んだ新たな評価表がとりまとめられた。
新規項目には、「80時間以上の時間外労働」を強度「中」として追加。判断の際に考慮するべき事項として、「発症前の2カ月で月120時間、あるいは3カ月で月100時間の時間外労働を行っていた」場合には評価を「強」へ引き上げると例示している。
総合評価が「強」となった場合、業務以外の強い心理的負荷などがなければ基本的に業務上と判断されることになる。
厚労省では、「基準を明確にすることでより請求しやすくなる」としており、審査期間の短縮などとあわせ認定促進を図っていく考えだ。早ければ年内にも労働局へ通達して運用を開始するとしている(下表関連資料)。
【今後改正予定の心理的負荷評価表に盛り込まれる職場での出来事】
改正後の表では、業務による具体的出来事が従来の7類型43項目から6類型36項目へと集約される。新規に追加するのは、項目16「1か月に80時間以上の時間外労働を行った(強度Ⅱ)」、項目17「2週間以上にわたって連続勤務を行った(強度Ⅱ)」、項目28「非正規社員である自分の契約完了が迫った(強度Ⅰ)」の3つ。またセクハラを対人関係のトラブルから独立させて、新たな類型とするなどの整理も行っている(下線部分が変更点)。 |
・評価表には負荷強度が特に高い「特別な出来事」も盛り込んでいる
・負荷の強度がⅡでも強と判断する場合を例示することで基準をより具体的に(一部抜粋)
平成23年12月1日第2151号 掲載