【特集】高齢者の身体を疑似体感 運転マナーが格段にアップ/サンエイ
交通安全教育は、企業ごとにさまざまな手法が取られているが、ひと際ユニークな取組みをしているのが、サンエイ㈱(愛知・刈谷市)だ。交通弱者と呼ばれる高齢者の身体機能がどんなものかを疑似体感することで“弱者”に優しいドライバーを育てている。運転マナーが格段にアップしたというから、見逃せない事例だ。
交通弱者へ配慮が不足
同社は創業が大正9年というから、90年を超える歴史ある会社だ。トヨタグループを中心に重量物の運搬据付・移設工事、総合ビルメンテナンス、部品梱包・部品組付け、産業廃棄物処理、土木・建築・造園工事、車両整備業務と幅広い事業展開をしている。
中型・大型車両と重機を併せると、車両台数がおよそ600台にも上るため、交通安全教育には、特に力を入れてきた。実際、平成9~21年までの13年間で881人が自動車の運転実技を主体とした交通安全教育を自動車学校で実施している。具体的教育内容としては、パニック体験や急制動、追突・脇見運転、事故発生時を想定した応急救護、運転適性検査を行った。
業務で車両を運転する作業者全員に対し教育が一巡したのをきっかけに上段の図のように、教育内容を評価したところ、パニック体験や適性検査などは目標値を上回っているものの、弱者配慮の教育が目標値を下回っている事実が分かった。同社では、交通弱者を交通事故によるものを指し、自動車中心社会での移動に制約を受ける人とは分け隔てている。前者を対象としているが、バイク、自転車、歩行者の順で弱くなるとし、さらに歩行者のうち子供や高齢者、障害を持つ人はさらに弱いとされている。そこで、「バイク特性の理解活動」「自転車の交通ルールの周知活動」「高齢者疑似体感教育」の3点の教育を行うこととなった。
自転車は全社員を対象に
バイク特性の理解については、…
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