2021年の労働安全衛生の動き&事故災害を振り返る(7) 静岡・熱海市で土石流が発生
2021年も残すところあとわずか。新型コロナウイルス感染症の拡大で新たな働き方が定着するなかで、時代の変化に応じた安全衛生関係法令の見直しが進み、産業構造の変化や高齢化に応じた安全衛生対策や、過労死・メンタルヘルス不調への対策、化学物質管理の新たな動きなど変化の大きい一年となった。今年話題となった安全衛生に関連したトピックを、誌面・webニュースの掲載内容とともに振り返る。
静岡・熱海市で土石流が発生 労働局が復旧時の労災防止を要請
梅雨前線により7月1日から降り続いた大雨により、7月3日10時30分頃に静岡県熱海市伊豆山の逢初川上流部で土石流が発生した。静岡県の発表によると、被災範囲は延長約1kmにわたり、死者26人を出す激甚災害になった。
静岡労働局では7月6日、被害を受けた建築物の解体・改修工事や道路、水道などの復旧工事での労働災害を防止するため、建設業労働災害防止協会静岡県支部と公共工事発注機関に対策の徹底を要請している。土砂崩壊などによる二次災害のおそれがあるとして、自治体の発する情報に十分留意するとともに、点検者を指名し、地山の異常をできるだけ早期に発見するように努めることなどを求めた。また、令和2年の熊本豪雨の復旧工事で石綿を含む建物の解体作業などが多く発生したことから、石綿対策についても注意を喚起した。9月25日には復旧工事でドラグショベルによる死亡災害が発生。河川への土砂流出による穴を塞ぐためにドラグショベルを旋回させたところ、機体バランスを崩して川に転落し、運転者が死亡する災害が起こっている。
静岡県の調査では、土石流の起点にあった盛土に不適切な工法があったという見解も示されたことから、国土交通省などが全国約4万箇所の盛土総点検を都道府県に通知した。年内に点検結果をとりまとめ、土地利用規制など安全性を確保するために必要な対応策を検討するとしている。
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【ニュース】熱海土石流 復旧工事での石綿対策要請 静岡労働局(労働新聞 令和3年8月2日号)