【特集2】くも膜下出血予防へ バス会社が脳ドック負担 健康と安全見据え強化/運輸デジタルビジネス協議会
一般社団法人運輸デジタルビジネス協議会(TDBC)では、ドライバーのくも膜下出血による健康起因事故の報道を受け、脳心臓疾患を早期に発見できる検査の普及やその重要性の認知向上の取組みを活発化させている。課題解決の場であるTDBCのワーキンググループ活動で進められているもので、中日臨海バス㈱の事例では、くも膜下出血を予防するため脳ドックを会社負担で受診させている。破裂の危険性がある脳動脈瘤がみつかるなど従業員の健康と安全運行で成果を上げている。意識づくりの観点から食事や運動面での周知活動も積極化。今後も高齢化が進展することから、早め早めの対策が重要になっている。
死傷事故で責任問われる
2021年1月、東京・渋谷区で70歳代のタクシー運転者が横断歩行中の歩行者をはねるなどして男女5人が死傷する事故が発生した。その後、運転者がくも膜下出血を起こしていたことが分かり、運転中の意識障害が事故の原因とみられている。
また同年9月には、東京・千代田区で60歳代のタクシー運転者が男女5人をはねる死傷事故が発生。こちらも運転者の死因はくも膜下出血で、ドライブレコーダーには、意識がもうろうとした様子が映っていたとする報道もあり、発病と事故との関連が疑われている。
一度事故が発生してしまうと、事業者が健康診断で持病などを把握していた場合、労働安全衛生法上の責任が問われる可能性がある。運転者本人にも重い刑事責任がのし掛かる。例えば、渋谷区の事故では、運転者死亡のまま自動車運転死傷行為処罰法違反の疑いで書類送検されている。
脳MRIが解決のカギ
「これらの事故を不幸な事故として終わらせてはならない。3年に1回脳MRI検査を行うことでくも膜下出血による事故は防ぐことができる。昨年度の『健康経営の推進と健康課題解決』ワーキンググループでは、実際に脳動脈瘤破裂を免れた事例が共有された」とするのは、運輸デジタルビジネス協議会の小島薫代表理事。
TDBCでは、…
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