最高裁が救済取消しを破棄 山形大学不当労働行為事件で
2022.03.18
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最高裁判所第二小法廷(岡村和美裁判長)は3月18日、山形県労働委員会の救済命令を取り消した二審判決を破棄し、仙台高裁に審理を差し戻す判決を下した。裁判は山形大学が起こしたもので、賃金引下げなどをめぐる労使紛争において平成31年に同労委が誠実団交を命じた処分を不服としていた。
一審の山形地裁、二審の仙台高裁は、ともに賃下げから4年ほど経過した労委の命令時点で改めて団交をしても、労働組合にとって有意な合意は不可能だったと指摘。仮に誠実交渉義務違反があったとしても、労委命令は裁量の範囲を超える違法なものといわざるを得ないとして、救済命令を取り消した。
最高裁は労委の裁量について「広範な裁量を有し、裁判所はその裁量を尊重する必要がある」と強調。合意の成立が見込まれないとしても、労委は誠実交渉を命じることができると判示した。誠実交渉義務違反があったかどうかについて、さらに審理を尽くす必要があるとして、仙台高裁に差し戻している。
【判決文】
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/028/091028_hanrei.pdf
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