設計段階から労災防止検討が有効に 五輪工事レガシー報告
2022.04.29
【安全スタッフ ニュース】
2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会大会施設工事安全衛生対策協議会は、「レガシーとして引き継がれていくべき労働災害防止の検討 令和3年度報告書」を取りまとめた。リスクアセスメントの実施促進について、設計段階から建設現場の労働災害防止の検討を行うフロントローディングが有効との見方を示した。墜落・転落防止災害の防止徹底では、発注時の技術提案で高所作業を減らす施工方法を採用した結果、高所作業の軽減と工期短縮につながったとしている。
報告書は、全7事業所から得た回答と2件のヒアリング調査から4項目に分けて整理したもの。
リスクアセスメントの実施促進などでは、設計段階から建設現場の労働災害防止の検討を行うフロントローディングが有効と考えると指摘した。
施工時に想定される危険性を低減するため、設計段階から各種調査結果(ボーリング調査・土質分析結果など)の資料を施工者に提示し、建築物の構造計算を行う設計条件に反映したことや、施工者も現場を確認して設計内容が現場で危険なく施工可能か確認することで、施工時の危険性低減に努めた。具体的には、海岸エリアに建てるH鋼架台組による嵩上げや、ビデオボードを設置するためのH工組の架台は設計段階から危険性を考慮したという。
墜落・転落災害などの防止徹底に関しては、発注時の技術提案で高所作業を減らす梁の施工方法(リフトアップ工法)を採用。高所作業の軽減と工期短縮につながったとしている。
2022年5月1日第2401号 掲載