【特集1】「エイジフレンドリー」な職場実現へ 身体機能低下に配慮して環境構築
働く人の高齢化が進むなかで、高年齢者に優しい「エイジフレンドリー」な職場づくりが求められている。加齢によって身体機能は低下し、労働災害に被災しやすくなり重傷化もしやすい。厚生労働省作成のガイドラインでは、段差の解消や滑り止めによる転倒防止、見やすく聞きやすい警告方法などの作業環境改善とともに、身体特性を考慮した配置などがポイントになるとしている。事例では、今年から全社的に活動を進めている日本国土開発㈱の取組みを紹介する。
被災者の4分の1が60歳以上
60歳以上の高年齢労働者の割合は年々増加しており、総務省労働力調査によると令和3年には18.2%となった。それに伴い、労働災害による休業4日以上の死傷者数に占める60歳以上の割合も増えており、昨年は過去最多の3万6370人(新型コロナによる被災者数を除く)で、労働災害全体の4分の1を超える数となっている。
労働災害発生率は、若年層に比べ高年齢層で高い。30代に比べて男性で約2倍、女性では約3倍発生しやすく、ケガが重症化しやすく、休業見込み期間が若年者に比べて長期化する傾向にある。
被災しやすい理由のひとつには、身体機能の低下が挙げられている。図は、20歳代前半と50歳代後半の身体機能の変化を表したデータで、平衡機能(バランス)はピーク時の半分、聴力や視力、筋力なども20歳代と比べて大幅に低下することが明らかになっている。若いときと同じ感覚で作業をしていると、重いものを持ち上げようとして腰を痛める、バランスを崩して転落、ちょっとした段差につまずくといった労働災害が起こりやすくなる。…
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