粉じんによる肺疾患 発症確認され要請へ 厚労省
2017.06.01
【安全スタッフ ニュース】
厚生労働省は、有機粉じんの製造事業場に向けて肺疾患などを予防する観点から、ばく露防止を指導するよう都道府県労働局宛てに指示した。昨年、化学工業の事業場で肺疾患の発症が確認され調査したところ、「吸入性粉じん」が高濃度で発生していたことが推測されるとして、同種の健康被害を未然に防ぐため要請したもの。災防団体に注意喚起するとともに、関係メーカーなどへも協力を呼び掛けている。
対象となった有機粉じんは、「架橋型アクリル酸系水溶性高分子化合物」を主成分とする吸入性粉じん。平成28年5月、同物質を製造する化学工場で働いていた6人が肺疾患を発症したとして所轄労基署に報告があった。その後、労働者健康安全機構の労働安全衛生総合研究所による災害調査で、同物質の吸入性粉じんが「高濃度で発生していた」と考えられるとの報告(速報)が出された。現時点では、因果関係が明白にはなってはいないが、同種の健康被害の発生防止を図る「予防的観点」から今回の要請に至った。
同物質は、医薬品や化粧品の製造などで国際的にも広く使われているが、これまでに肺に対する有害性は確認されていないという。
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平成29年6月1日 第2283号 掲載