2022年の安全衛生ニュースを振り返る(3) 化学物質管理者選任が義務化 危険有害物のばく露低減で
事業者に自律的管理求める
厚生労働省は5月31日、化学物質による労働災害防止を推進するため、労働安全衛生規則や有機溶剤中毒予防規則などを改正した。一定の事業場での化学物質管理者の選任、リスクアセスメント対象の危険・有害物に労働者がばく露する濃度の低減措置などを義務付ける内容。ばく露濃度の低減やリスクアセスメント結果に関する記録の作成と保存、がんなどの遅発性疾病の把握強化などは2023年4月から、化学物質管理者の選任については2024年4月から施行する。
化学物質管理者が必要になるのは、リスクアセスメントを実施する必要がある危険・有害物を製造、取扱い、または譲渡・提供する事業場で、業種や規模は問わない。化学物質の管理にかかわる業務を適切に実施できる能力を持つ者としており、厚生労働大臣告示で示す合計12時間の専門的講習の修了を選任要件とした。化学物質管理者は、ラベル・SDS(安全データシート)の確認およびリスクアセスの実施、その結果に基づくばく露防止措置の選択と実施の管理などを担う。
ばく露濃度低減措置では、代替物の使用や作業方法改善などにより、濃度を最小限度に抑えることが必要になる。リスクアセスメント結果と、それに基づいて事業者が講じる健康障害防止措置については、関係労働者への周知と記録の作成、最低3年間の保存をしなければならないとしている。
厚労省は9月に「化学物質管理に係る専門家検討会」を設置。化学物質のばく露濃度の基準と測定方法、健康障害リスクが高いと認められる化学物質の特定と作業環境中の濃度測定と評価の基準、ばく露防止措置などについて検討を続けている。
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