【特集2】転倒・腰痛対策事例を共有 業種越え活動の気運高める SAFEコンソーシアムがシンポジウム&アワード開催
厚生労働省が設立した「従業員の幸せのためのSAFEコンソーシアム」は3月7日、東京都内でシンポジウムを開催した。転倒・腰痛災害を減少させるために、業種を越えた活動の共有を図るもので、キヤノン、サミット、ベルクの3社が事例を発表。オフィス内を移動中につまずくなどの「生活型災害」に焦点を当てた改善キャンペーンやシニアパートの心身機能チェック、安全対策強化店舗の設定など、各社が働き方に合わせた取組みを説明した。会場では優れた活動を表彰するSAFEアワードの授賞式も行われた。
労災防止の「アクション」拡げる
機械の挟まれ・巻き込まれや墜落・転落などの災害が減少傾向にあるなか、ここ数年目立っているのが転倒災害や腰痛災害などの行動災害。労働災害の約4割を占め、発生件数全体を押し上げている。背景には高年齢化や産業構造の変化などがあり、休業4日以上の災害は増加傾向に転じ、転倒による骨折などで長期休業を余儀なくされるケースも少なくない。特に、パートやアルバイトが多く、安全教育に時間を割きづらい小売業や社会福祉施設で発生が顕著で、労働基準監督署による事業場指導など従来型のアプローチだけでは労災防止が難しくなっている。
こうした状況を受けて、厚労省は昨年6月20日に、「SAFEコンソーシアム」を設立した。製造業や建設業で行われてきた自主的な安全活動の裾野を第3次産業まで拡げる狙いがあり、従業員のことを考えた労働災害防止の「アクション」を行う賛同企業を広く募っている。現在までに、全国で713の企業・団体が加盟しており、安全衛生活動の情報を共有。さらに、会員間が労働災害防止の取組みで協力を図るマッチング事例も生まれている。
同日には、安全安心な職場づくりの事例を称えるSAFEアワードの授賞式も行われた。初回となる今年度は、一般投票を経て、ウェルビーイング・転倒災害防止・腰痛防止・企業間連携部門で計11企業を表彰した。転倒災害防止部門では、足腰を鍛える「起立着座訓練」を励行するため、従業員参加の動画を作成した社会医療法人ペガサスの活動のほか、イオン北海道が展開した凍結路面の転倒防止の「冬のゼロ災運動」、JFEスチール西日本製鉄所(倉敷地区)安全健康室の安全な作業に必要な「安全体力®」の把握と維持・改善の取組みが選ばれた。
SAFEコンソーシアムは今年度も活動を継続する予定。業種の垣根を越えて情報を展開し、労災防止に取り組む社会的な気運の醸成と、労災の減少を目指す。
「生活型災害」に焦点当て改善 職場発のアイデア250事例を展開 キヤノン㈱
事例発表では、…
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