労災隠しで2社送検 派遣元・先とも報告なく 大牟田労基署
2023.06.28
【労働新聞 ニュース】
福岡・大牟田労働基準監督署(服部光幸署長)は、労働者死傷病報告を遅滞なく提出しなかったとして、労働者派遣業の㈱ヒューマンコミットメントセンター(同県大牟田市)と同社から派遣を受けていた製造業の㈱中村プレス(同県柳川市)、各社の代表取締役の計2社2人を労働安全衛生法第100条(報告等)違反の疑いで福岡地検久留米支部に書類送検した。
令和2年12月、派遣先の敷地内で派遣労働者が片付け作業中に足首を捻り、右足首を外果骨折する労働災害が発生した。派遣元は当日に同労働者から連絡を受けていたが、報告を提出したのは約2年後だった。同労基署に対し、「派遣先から提出しないよう指示されていた」と主張している。
派遣先も労災発生の事実を知り得ていたにもかかわらず、報告を提出しなかった疑い。同労基署によると「派遣先にも提出義務があると知らなかった」と供述している。派遣元への指示に関しては否定しているという。
4年夏頃、治療費を負担していた派遣元が「労災保険を使いたい」として、報告を提出したことで発覚した。その後、同労基署の調査を受けて派遣先も提出している。
同労基署は「派遣先から止められても派遣元は報告するべき」とした。
【令和5年6月14日送検】
令和5年6月26日第3406号4面 掲載