労働裁判ニュースまとめ【2023年4~6月】通勤手当不支給 不合理性なしと判断/育休復帰後 部下0人は不利益取扱い ほか
『労働新聞』で配信したニュース記事の中から、2023年4月3日号~6月26日号で公開した労働裁判関連の記事をまとめてご紹介します。
通勤手当不支給 不合理性なしと判断 旧労契法20条裁判で 津地裁
大手電子部品メーカーの日東電工㈱で働く非正規労働者60人が、正社員との間の待遇格差を不服として訴えた裁判で、津地方裁判所(竹内浩史裁判長)は労働者らの請求を一部認め、同社に計3200万円の支払いを命じた。
年休時季変更権 相当期間前まで行使を 契約上の付随義務に 東京地裁
JR東海の新幹線の運転士6人が、時季変更権の行使により年次有給休暇を取得できなかったのを不服として訴えた裁判で、東京地方裁判所(片野正樹裁判長)は同社に54万円の支払いを命じた。
客室乗務員 3年超での無期転換認める オランダ法を適用 東京地裁
KLMオランダ航空で客室乗務員として働いていた労働者29人が雇止めは違法と訴えた裁判で、東京地方裁判所(布施雄士裁判長)は29人全員の無期転換を認める判決を下した。オランダ法を適用し、通算期間3年超での無期労働契約成立を認定している。
テレワーク規則 違反による懲戒降格有効 管理職から一般職へ 東京地裁
携帯電話の大手販売代理店で働く労働者が、テレワーク規則違反による懲戒降格は違法と訴えた裁判で、東京地方裁判所(木田佳央人裁判官)は管理職から一般職への降格を有効と認めた。同社はコロナ禍に伴い、一部従業員の在宅勤務を決めた。
労働保険関係 労働者0人で当然消滅せず 運輸会社の請求却下 東京高裁
東京都内の運輸会社が労働保険料の決定処分を不服とした裁判で、東京高等裁判所(森英明裁判長)は同社の請求を一審に引き続き却下した。
部門閉鎖伴う整理解雇有効 回避努力尽くしたと評価 東京地裁
大手外資系証券会社で働く労働者が部門の閉鎖による解雇を不服として訴えた裁判で、東京地方裁判所(木田佳央人裁判官)は整理解雇を有効と判断した。同社は閉鎖に当たり、社内公募のリストを労働者に送付し、自身でポストをみつけるよう指示していた。
解説動画付き裁判記事
退職金増額部分 懲戒による75%減額認める 功労報償の性格強く 東京地裁
建設機械のレンタル・販売などを営む会社で取締役を務めていた労働者が、退職金の増額部分などの支払いを求めた裁判で、東京地方裁判所(西澤健太郎裁判官)は懲戒事由による約75%の減額を認め、会社に100万円の支払いを命じた。
【労働ニュース解説動画⑪】退職金増額部分 懲戒による75%減額認める 功労報償の性格強く 東京地裁
育休復帰後 部下0人は不利益取扱い 職務等級が同一でも 東京高裁
アメリカン・エキスプレスで部長職として働く女性労働者が、育児休業復帰後に部下を0人にされたことなどを不服とした裁判で、東京高等裁判所(永谷典雄裁判長)は、同社の対応を均等法と育介法が禁じる不利益取扱いのほか、人事権濫用、公序良俗違反に当たると判断した。
【労働ニュース解説動画⑩】育休復帰後 部下0人は不利益取扱い 職務等級が同一でも 東京高裁