2023年の安全衛生ニュースを振り返る(1) 労災減少へ新たな指標を設定 第14次労働災害防止計画がスタート
長期的に減少傾向にあった労働災害発生件数はここ数年で増加に転じ、過去20年で最多を記録するなど減少の兆しが見えない。今年からスタートした第14次防では新たな指標を設定するなど、多様化する課題に対応する動きが見られている。2023年の安全衛生関連の注目ニュースを振り返る。
転倒対策講じる事業場を50%以上に
厚生労働省は3月、今後5年間で国、事業者、労働者などが重点的に取り組むべき安全衛生対策事項を定めた「第14次労働災害防止計画」を策定した。中高年女性を中心とした作業行動に起因する労働災害防止や高年齢労働者、外国人労働者、個人事業主の安全衛生対策などを重点課題に設定。計画期間が終わる2027 年までに達成する事業場における取組状況の数値目標(アウトプット指標)を掲げ、その成果として期待されるアウトカム指標を定めている。
重点課題の1つに挙げた作業行動起因の労働災害防止対策推進では、アウトプット指標として「転倒災害対策 (ハード・ソフト両面からの対策) に取り組む事業場の割合を2027年までに50%以上とする」とした。アウトカム指標では、 今後増加が見込まれる転倒の年齢層別死傷年千人率について増加に歯止めをかけるとともに、転倒した際にケガをしにくい身体づくりなどによって転倒による平均休業見込日数を40日以下にするとしている。
業種別の労働災害防止対策では、建設業の死亡災害15%以上減少に向けて、墜落・転落災害防止に関するリスクアセスメントに取り組む事業場について、2027年までに85%以上を目指す。製造業では、機械による「はさまれ・巻き込まれ」防止対策に取り組む事業場の割合を60%以上にし、「はさまれ・巻き込まれ」による労働災害を5%以上減少させるとした。
<参考>労働災害防止計画について(厚労省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000197308.html