2023年の安全衛生ニュースを振り返る(3) 建設現場で重大災害が相次ぐ CO中毒、橋桁・鉄骨落下の大惨事に
溶接作業者と救助者合わせて11人が被災
静岡・御前崎市内の発電所建設現場で2月、発電設備のろ過式集塵機内で溶接作業中の作業員2人が倒れ、救助に当たった作業員9人も一酸化炭素中毒とみられる症状を発症した。11人のうち7人が病院に搬送され、1人が命を落とす惨事となった。事故を受け、工事発注会社が再発防止策を策定。設備内の作業時には一酸化炭素検知器を設置するとともに、一酸化炭素中毒のリスクの低減、関係作業者全員への教育再実施を行うとした。
橋桁落下に8人が巻き込まれる
7月には静岡市内の橋梁建設工事現場で、架設中の鋼鉄製橋桁が落下し、作業員8人が被災、うち2人が死亡する事故が発生した。事故を受け、厚生労働省は関係業界団体に構造物の落下防止に関する安全総点検を要請。橋梁などを移動する作業の計画段階と実施段階に安全確保措置が確実に講じられているかなどを確認し、問題があった場合には改善を徹底するよう指示している。
事故については、国土交通省が設置した事故調査委員会が9月に中間とりまとめを公表している。橋桁落下の要因分析として、架台の底面、サンダル材が堅固に固定されていなかったこと、橋桁が変位していたが事故直前まで作業計画などを見直さず降下作業を続けていたこと、セッティングビームと桁を結ぶボルトが信頼性の高い接合ではなかった点などを指摘した。
鉄骨落下事故で2人死亡、4人重軽傷
東京都中央区の建設工事現場で9月、クレーンでつり上げていた鉄骨が落下し、鉄骨梁上にいた5人の作業員が墜落する事故が発生。鉄骨の下敷きになるなどして2人が死亡し、階下の作業員を含めた4人が重軽傷を負った。梁を支持していた仮設構造物の崩落により、架設中設置中の鉄骨と設置済みの鉄骨4本が崩れたとみられている。
東京労働局では類似の災害を防止するため、発注者と建設業関係団体、都内の大規模工事現場に対して安全総点検を要請。点検表を使い、鉄骨建方作業の計画段階と実施段階での安全確保状況をチェックするよう求めた。計画段階で現地の状況、工程、主要部材の大きさ・重量、形状などの調査や、計画作成時のリスクアセスメントの実施、リスクを低減する工法の選定などを指示している。
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