【特集2】安全・生産性を一体に高める 賛同事業場の改善事例解説/愛知労働局 「安全経営あいち推進大会」
愛知労働局(阿部充局長)は1月23日、「安全経営あいち推進大会2023」を開催した。「リスクアセスメントを通じPQCDSMEはひとつにできる」をテーマに掲げた今大会では、安全性確保と生産性向上、コスト削減などを一体に進める取組みから、リスクアセスメントで求められる「作業の実態把握」の重要性をひも解いていった。建設業では、鉄筋運搬や結束固定作業を減らす工法によって、災害リスクの解消と工程の大幅短縮を達成した事例を紹介。動線を見直して歩数を半分にすることで、作業の効率化と接触リスク低減を図った食料品製造業の事例などを取り上げている。
作業実態を調べて危険を把握
同労働局では、「リスクアセスメントを通じPQCDSME※はひとつにできる」のスローガンのもと、安全を経営課題として捉えて、生産、品質などと一体に捉えてリスクを管理する「安全経営あいち®」の考えを提唱している。賛同事業場はロゴを使用し、安全経営に積極的に取り組む姿勢を事業場内外にアピールできる。
※P=生産性/Q=品質/C=コスト/D=納期/S=安全/М=士気/E=環境 |
活動の核となるのは、「作業の実態把握」によるリスクの抽出と継続したリスク管理だ。大会講演で同労働局安全課の濱田勉課長は、「危険予知で行ってきた“見つける”作業を、“調べる”に置き換える」とリスクアセスメント推進のポイントを説明する。一つの生産ラインのなかには、定常作業以外にも異常処置などの非定常作業や頻度が少ない作業も存在する。業務プロセスの分解や使用する機械の危険源をマップ化し、危険に近づく作業を洗い出し、組織的なマネジメントが重要とした。その際には、安全担当部署だけでなく、生産や保全担当部署の情報も重要になるという。
また、リスクアセスメントは短い期間で行うのではなく、10年以上の長い目で情報を整理し続けることが、作業のあり方を見直す本質安全につながるとした。
ロールマット工法で配筋効率化
パネルディスカッションでは、安全経営あいちの理念を体現している事業場の好事例を労働局、労働基準監督署の職員が紹介した。名古屋市の総合建設業・㈱伊藤工務店では、業界的に現場で作業をする技術者が不足するなかで、土間配筋作業を、より良い品質で、安く、早く施工する方法へと変更している(図1)。…
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