原発事故後作業 3人を労災認定 厚労省検討会
厚生労働省の「電離放射線障害の業務上外に関する検討会」は、東京電力福島第一原子力発電所における事故後の作業従事者で、がんを発症した3人について労災認定したことを公表した。総被ばく線量は、最も低い者で約7.3ミリシーベルトだった。
今回の労災認定は、2011年3月の福島第一原発における事故後の作業従事者の3人から、がん(白血病2人、肺がん1人)を発症したとして労災請求が行われたことを受けたもの。検討の結果、それぞれ業務上との結論となり、東京・中央労働基準監督署と福島・富岡労基署で3月25日に労災認定を行った。
それによると、50歳代に白血病を発症した男性は、勤務期間のうち約1カ月、放射線業務に従事した。総被ばく線量は約7.3ミリシーベルト(うち事故後の福島第一原発での作業:約7.2ミリシーベルト)だった。40歳代に同じく白血病を発症した男性は、平成10年4月~令和5年3月のうち約5年、放射線業務に従事していた。総被ばく線量は約26ミリシーベルト(同約19ミリシーベルト)だった。
3人目は、60歳代に肺がんを発症した男性。昭和60年4月~令和3年6月のうち約21年、放射線業務に従事しており、総被ばく線量は約104.8ミリシーベルト(同約97.1ミリシーベルト)となっている。
いずれも事故後の福島第一原発での業務では防護服・全面マスクなどを着用していた。
なお、これまで労災認定された事故後の作業従事者に発症した疾病は、白血病5件、真性赤血球増加症1件、咽頭がん2件、甲状腺がん2件、肺がん1件となった。
緊急作業従事者を含む福島第一原発における事故後の作業従事者に対し、認定の要件を満たせば労災補償が受けられることなどを周知する観点から、請求人の同意を得て公表している。