【特集1】安全管理を〝仕組み化〟する 蓄積したノウハウの継承へ コスモス(建設業労働安全衛生マネジメントシステム)/<事例>日本無線 高所作業の統一基準を運用
現場の安全管理を支えてきたベテラン世代の退職により、労働災害防止のためのノウハウの継承が課題となっている。建設業労働災害防止協会では、コスモス(建設業労働安全衛生マネジメントシステム)の構築と適切な運用による安全管理の仕組み化を推奨しており、支店間で異なるルールや現場代理人の肌感覚など明文化されていない経験知などを社内規定に落とし込む動きが進んでいる。コスモスの基準に適合しているとして現在までに129社を認定した。今号特集Ⅰでは、制度の概要とともにコスモスの運用事例を紹介する。
災害指数の減少幅に差が
建設業の安全衛生管理は、店社と作業所が一体となって行われるほか、専門工事会社との協力体制の下に工事が進められる、工事が有期で毎回作業条件が異なるといった特徴がある。こうした安全衛生管理を体系的かつ継続的に実施するための仕組みとして、建災防では建設業労働安全衛生マネジメントシステムガイドラインを作成し、コスモス導入事業場の評価や、基準に適合している事業場の認定を行っている。
認定には、店社・作業所を範囲とする個別認定、本社と全支店・作業所の一括認定のほか、労働者50人未満程度の中小規模建設事業場を対象としたコンパクトコスモスがある(認定期間はいずれも3年間)。今年3月末現在の認定証取得企業は全体で129企業、適用事業場数は321事業場(令和6年4月10日時点)となった。
認定証取得のメリットのひとつには、認定審査を通じて行われるコスモス評価者からのアドバイスがあり、システムの改善と安全衛生管理の質の向上が期待できる。
コスモス認定年の前後で認定事業場の労働災害指数を比較したところ、認定前の5年平均値107.4に対し、認定後の3年平均は75.8で指数が31.6ポイント低下していた(図1)。…
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