2024年の安全衛生ニュースを振り返る(2) 建設・物流で時間外上限規制が適用 国の過労死対策も強化へ
荷主企業を含め取組み後押し
残業時間を原則年360時間などとする時間外労働の上限規制について、4月から建設分野での適用が開始した。日本建設業連合会では、時間外労働削減に向けたガイドラインやリーフレットの作成、適正工期確保宣言などのこれまでの取組みに加え、新たに「物流の適正化・生産性向上に向けた自主行動計画」を策定。荷主企業を含めた業界全体の取組みを後押しすることを狙いとしたもので、発荷主・着荷主に共通する取組事項として、荷待ち・荷役作業時間の把握や、荷待ち・荷役作業時間を2時間以内にするルールを掲げた。物流業務の実施を統括管理する「物流管理統括者」の選定や、作業所入場調整管理システムの導入、パレットの活用なども求め、協力会社が荷主となる場合は、同様の対応を要請することとしている。
過労死防止改善計画策定を指導
8月には厚労省がまとめた「過労死等の防止のための対策に関する大綱」の見直しが閣議決定された。国が重点的に取り組む対策として、建設事業、自動車運転業務などへの時間外労働上限規制の順守徹底を盛り込んでおり、長時間労働の背景にある、短い工期の設定や、荷積み、荷下ろしのための長時間の待機など取引慣行上の課題について、施主や荷主といった取引関係者などに対する理解と協力などを幅広く周知するとした。
また、過労死などを発生させた企業に対する再発防止対策も追加。過労死などを同一企業に属する事業場で繰り返し発生させる企業に対して再発防止対策の指導を強化するとした。一定期間内に複数の過労死などを発生させた企業に対しては、企業の本社を管轄する都道府県労働局長から「過労死等の防止に向けた改善計画」の策定を求め、同計画に基づく取組みを企業全体に定着させるための助言・指導(過労死等防止計画指導)を実施するとしている。
<関連記事>