2024年の安全衛生ニュースを振り返る(3) 保護具着用責任者選任が義務に 化学物質の接触災害防止を推進

2024.12.29 【Web限定ニュース】
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化学物質災害は食料品製造が最多

 化学物質の自律的管理に関する省令の一部が施行され、4月からリスクアセスメント対象物を製造、取扱い、または譲渡提供をするすべての事業場で「化学物質管理者」「保護具着用管理責任者」の選任が義務づけられた。厚生労働省は、「皮膚障害等防止用保護具の選定マニュアル」を新たに作成し、同省ウェブサイトで公表。適切な選択・使用・保守管理の実施を推進するための化学防護手袋の選定方法などをまとめている。

 厚労省では職場の化学物質管理を支援するウェブサイト「ケミガイド」を解説するとともに、毎年2月を「化学物質管理強調月間」に定め、環境省と協力して危険有害物に対する職場の意識高揚を図っていくと発表した。初回の月間は2025年2月に開催する。月間設定と合わせて公表された有害物等との接触による労働災害の発生状況によると、食料品製造業や小売業・飲食店など、これまで化学物質管理と関連が薄かった業種で多発している実態が明らかになっている。食料品製造業162件、小売業・飲食店134件、化学工業119件、清掃・と畜業97件、金属製品製造業88件などで多く、建築工事業・その他の建設業でも計141件発生していた。製品別では、厨房やビルメンテナンスで多く使用される洗剤・洗浄剤による労働災害が371件(30%)と最多で、製造作業中が110件(9%)に比べて、清掃・洗浄作業中が382件(31%)と多くを占めた。移し替え・小分け・交換・補充作業中124件(10%)、点検・修理・メンテナンス作業中99件(8%)も少なくなく、非定常作業における労働災害が多い傾向がみられている。

建設現場の対応支援で手引き

 新たな規制に対応する事業者を支援するため、建設業労働災害防止協会は「建設業における化学物質取り扱い作業別リスク管理マニュアル」を作成した。実際の現場で労働者のばく露濃度を測定・分析し、その評価と有効なばく露濃度低減措置の検討を経たもので、物質の濃度を測定せずに作業別のリスクアセスメントの実施を可能とするもので、セメント系粉体取り扱い作業、ドア塗装等有機溶剤取扱い作業など6種類に対応しており、呼吸用保護具の選定基準などを示した。

 また、国立大学協会では、少量多品種を使用する特殊性を鑑みて、教育研究機関向けのガイドラインを作成。労働者健康安全機構でも、産業医向けのマニュアルの公開や化学物質管理の総合サイト「ケミサポ」を立ち上げるなど、事業者を支援する動きも広がり始めている。

 

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