車両運行管理業務 運行の都度指示はダメ 発注側労働者が同乗 厚労省作成
派遣・請負の区分基準
厚生労働省は、「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(37号告示)についての疑義応答集案(第2集)を作成した。車両運行管理や学校給食調理、商品実演販売など製造業務以外の役務提供について、同基準の具体的解釈例を示している。業務発注者による緊急時の指示、時間・人数指定の発注、作業打合わせ時の請負労働者の同席などについて、直ちに労働者派遣と判断されることはないが、日常的に作業指示をしたり、請負事業主の独立性が乏しい場合は問題となる。
疑義応答集によると、請負労働者(車両運行管理業務)が業務発注者の社用車を運転する場合、その社用車に発注者の労働者が乗車して停車位置、待機場所、出発時間の伝達・指示などを行うと労働者派遣と判断されるか、との疑義に対し、直ちに発注者からの指揮命令に該当するとはいえないと回答した。
車両運行管理では、運行計画に基づく配車時間・用務先などは、発注者が請負事業主に依頼する必要があり、請負労働者に直接指示することは原則としてできないものの、運行の変更状況によってはすべて請負事業主に依頼することが社会通念上困難となる場合があるとした。
ただし、運行計画における用務先が市町村名のような幅広い区域を記している場合で、運行の都度発注者の労働者が直接具体的な用務先を示すことは指揮命令に当たる。
商品実演販売(マネキン)の業務請負で、日時、場所、勤務時間、人数などを指定して発注され、かつ料金は労働者の人数に比例する形で決定されている場合は、問題があるかとする疑義に対しては、「仕事を完成させて引き渡す」形態でない業務では、こうした発注形態に合理的理由があるケースがあるとした。
契約・清算形態のみによって発注者が請負労働者の配置決定に関与しているとはいえず直ちに労働者派遣、労働者供給とはならないものの、実態において請負事業主が発注者から独立して業務を処理する必要があるとしている。
同様に、学校給食調理業務において、発注者が「調理業務指示書」を作成し、材料、調理方法、温度設定などを請負事業主に指示したとしても、直ちに労働者派遣とは判断されないが、献立ごとに労働者数や作業の割付けまでは指示できない。
発注者との打合わせ会議や朝礼に請負事業主だけでなく請負労働者が出席することについては、その際に作業の割り振りなど詳細な指示がなされたり、発注者から日常的に作業方針の変更指示があるケースは、労働者派遣とみなされる可能性がある。