長時間労働で脳出血 金属加工会社を送検 和歌山労基署
2015.01.15
【安全スタッフ ニュース】
和歌山労働基準監督署(田中秀和署長)は、労使協定の限度時間を超える違法な時間外労働を行わせたとして、金属加工会社と同社代表取締役を労働基準法第32条(労働時間)違反の容疑で和歌山地検に書類送検した。労働者が終業後に脳出血を発症し、労災請求が行われたのをきっかけに捜査を開始している。
調べによると、同社は、板金作業に従事する労働者(当時43歳)に対し、平成25年10月1日~12月17日までの期間、労使協定で1日について4時間、3カ月について110時間と定めていた時間外労働の限度時間を超えて、1日について延べ14日間で合計9時間22分、3カ月について112時間20分の違法な時間外労働を行わせた疑い。
25年12月17日に労働者が終業後に脳出血で倒れて病院に搬送され、その後同労基署に労災申請を行ったことが違反発覚の契機となっている。労働者は現在も後遺症で療養している。
時間外労働が月45時間を超えると脳・心臓疾患との関連性が強まるほか、月80時間を超える場合は労災認定される可能性が高くなる。今回のケースでは、3カ月間の時間外労働の合計が222時間20分、所定労働時間を含めた総労働時間は687時間20分に及び、月平均の時間外労働は約74時間だった。
同社では、消費税増税の影響で業務が繁忙を極めていたことに加え、人員不足により一人当たりの作業量が大幅に増加していたという。残業代はほぼ適正に支払われていた。
平成27年1月15日第2226号 掲載