専門家が情報共有へ 被災3県で災害多発懸念 復興工事推進本部
東日本大震災復旧・復興工事安全推進本部(事務局:建災防)は、このほど第8回会議を開いた。除染作業が進む福島県の復旧・復興工事が平成27年度以降最盛期を迎えることなどを念頭に、被災地の工事現場で巡回指導などを行う安全衛生の専門家が集まる情報交換の場が必要と提言している。さまざまな災害事例などに関するノウハウを共有化することが望まれるとした。
東日本大震災の被災3県(岩手、宮城、福島)の建設業における休業4日以上の労働災害発生状況(26年12月)をみると、岩手県275件(前年比4件減)、宮城県366件(同61件減)、福島県475件(同47件増)となっており、福島県だけが大幅に増加している。3県全体でも、最近4年間で1100~1200件と高止まりが続いている。
原発事故避難地域を除いてがれき処理が終了し、現在は、住宅建築、かさ上げ工事、道路工事などの復興事業が本格化しているという。このため、建設業に不慣れな労働者や、多数の業者が混在して行う各種工事での災害が多発することが懸念されている。
提言では、これまで行政による指導に加えて、専門家による安全衛生教育支援、巡回指導を積極的に展開していることを踏まえ、さらに効率的で効果的な巡回指導や安全衛生教育などが望まれるとした。
今後、木造家屋建築工事の増加が予想されることから、関係業界団体などが参画した労働災害防止活動が必要になるとの考えだ。
「被災3県で復旧・復興工事に対する巡回指導などを行う安全衛生の専門家が一堂に会した情報交換の場(研修会など)を新たに設け、災害事例や安全対策などを含めたノウハウの共有化が急がれる」(担当者)とした。
巡回指導では、現場巡視だけではなく、現場のニーズに即した短時間の〝ワンポイント安全衛生教育〟が求められているとし、教材として活用できる手帳・小冊子の作成などと併せて行いたいとした。