過労運転撲滅で工程表 30年度までに指針作成へ 国交省
国土交通省は、トラック輸送での長時間労働抑制に向けた取組みに関するロードマップを公表した。平成30年度までに「長時間労働改善ガイドライン」を策定するとしている。厚生労働省とともに近く立ち上げる「トラック輸送における取引環境・労働時間改善協議会」で定期的な検証とフォローアップを図り、長時間労働の実態調査や労働時間縮減のための助成事業などを行う予定だ。
トラック運送事業は、他業種に比べて総労働時間が長く、月60時間以上の長時間労働も常態化しているのが実情だ。トラック運転者の業務自体の負荷も大きく、過労死案件が全業種中で最多となっている。25年度の脳・心臓疾患の支給決定件数では、道路貨物運送業が94件と、2番目に多い総合工事業やその他の事業サービス業の13件を大きく引き離している。
背景には、荷主側の都合による手待ち時間など、トラック運送事業者だけでは解決できない問題がある。
厚生労働省が国会に上程した月60時間超の時間外割増賃金引上げの中小企業への適用を盛り込んだ労働基準法改正案は、例えばトラック運送事業者に向けては、過労運転による脳・心臓疾患や交通労働災害などの防止対策を促進する起爆剤としての効果が期待されている。
ロードマップは、割増賃金引上げ予定日の31年4月直前に当たる30年度までの4年間の取組み(工程表)を示している。
国交省、厚労省、荷主、トラック事業者などからなる「トラック輸送における取引環境・労働時間改善協議会」を5月の連休明け以降に中央(省庁)に設置(各都道府県にも順次設置)し、27年度から長時間労働の実態調査、対策の検討を行う。28年度からはパイロット事業(実証実験)の実施、労働時間縮減のための助成事業に乗り出す。その結果を受け、30年度までに「長時間労働改善ガイドライン」を策定し、その普及に努める方針とした。実際に助成事業が始まるのは30年度以降となる見込み。