週60時間以上5%以下に 数値目標を定める 過労死防止協議会が大綱案
過労死等防止対策推進協議会は、「過労死等防止対策推進法」の基本方針となる大綱(案)を明らかにした。将来的に過労死ゼロの実現を目指すもので、週労働時間60時間以上の雇用者割合を5%以下、年次有給休暇取得率を70%以上とする数値目標を定めている。今回取りまとめた大綱(案)を踏まえて議論を行い、夏ごろに閣議決定する見通しとなっている。
大綱(案)の「当面の対策の進め方」によると、過労死などは要因が複雑で発生原因などが分かりにくいことが少なくないとして、実態を解明する調査研究が早急に行われることを第一に掲げている。
調査研究に関しては、疲労の蓄積や心理的負荷の直接の原因となる労働時間や職場環境に加え、不規則勤務、交替制勤務、深夜労働、出張の多い業務、精神的緊張の強い業務といった要因を検討する。さらに、その背景にある企業の経営状態や短納期発注を含むさまざまな商取引上の慣行などの業界を取り巻く環境、労働者側の個別の生活時間などの状況を分析していく必要があるとした。
国は、独立行政法人労働安全衛生総合研究所の過労死等調査研究センターなどで、労災認定・公務災害認定事案を集約し、過重労働と関連するその他の事案(未認定含む)についても収集を進める。
これらの取組みにより、将来的に過労死などをゼロにすることを目指し、平成32年(2020年)までに週労働時間60時間以上の雇用者を5%以下、年次有給休暇取得率を70%以上、平成29年(2017年)までにメンタルへルス対策に取り組んでいる事業場の割合を80%以上とする目標を早期に達成することなどを盛り込んでいる。
総務省の労働力調査によれば、平成26年の全産業の週60時間以上の雇用者数は468万人に上る。