「ライフライン」設置を ロープ高所作業の危険防止 安衛則改正で労政審答申
厚生労働省労働政策審議会(樋口美雄会長)はこのほど、厚生労働大臣に対し、「労働安全衛生規則の一部を改正する省令案要綱」について「妥当である」と答申した。「ロープ高所作業」の危険防止規定を新たに設けるもので、安全帯を取り付けるための「ライフライン」の設置などとともに特別教育の実施が義務付けられる。
「ロープ高所作業」とは、高さが2メートル以上の箇所であって作業床を設けることが困難なところで、いわゆるブランコなどの昇降器具を用いて、労働者がその器具により身体を保持しつつ行う作業をいう。省令案では、ビルの外装清掃やのり面保護工事などを行う「ロープ高所作業」での危険防止規定を新設し、身体保持器具を取り付けるための「メインロープ」以外に、安全帯を取り付けるための「ライフライン」の設置や作業場所の調査・記録、作業計画の作成、作業指揮者の選任などを義務化している。
また、事業者は同作業従事者に対して特別の教育を行わなければならない。
なお、ビルの外装清掃業務関連またはのり面保護工事関連以外の作業については、必要な墜落防止措置を講じた場合に限り、当分の間はライフラインの設置義務を課さない。
施行予定日は平成28年1月1日。特別教育については同年7月1日としている。
ロープ高所作業における労働災害の発生状況をみると、過去6年間(平成21~26年)の死亡者数は24人で、そのほとんどが墜落・転落によるもの。業種別では、ビルメンテナンス業が13人、建設業が11人となっている。
とくに目立つのは、「作業中に支持物(緊結元)からロープが外れ(ほどけ)墜落」で、「作業中にロープが切れて墜落」や「支持物ごと墜落」も少なくない。