精神障害が過去最多に 請求・支給決定の両方で 26年度過労死等労災状況
厚生労働省は、平成26年度「過労死等の労災補償状況」を公表した。脳・心臓疾患に関する請求件数が3年連続で減少し、支給決定件数も2年連続で減少している半面、精神障害に関する請求件数・支給決定件数がともに過去最多となっていることが分かった。出来事別にみると「悲惨な事故や災害の体験、目撃をした」「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、または暴行を受けた」が目立つ。
過重な仕事が原因で発症した脳・心臓疾患に関する事案の請求件数は、前年度に比べて21件少ない763件と3年連続のダウンとなった。支給決定件数でも同29件減の277件(うち死亡121件)と2年連続の減少だ。業種別(大分類)では、請求・支給決定件数ともに「運輸業,郵便業」がトップだった。
その一方で、仕事による強いストレスなどが原因で発病した精神障害に関する事案が急増した。
請求件数は前年度比47件多い1456件となり過去最多。支給決定件数も同61件増の497件(うち未遂含む自殺99件)となり過去最多を記録している。
業種別(大分類)では、請求件数でみると、「製造業」(請求件数245件、支給決定件数81件)、「医療,福祉」(同236件、60件)、「卸売業,小売業」(213件、71件)の順に多かった。
業種別(中分類)の支給決定件数では、「道路貨物運送業」が41件と最多で、「社会保険・社会福祉・介護事業」が32件、「医療業」が27件、「飲食店」が25件、「情報通信業」が16件などと続いた。
支給決定事案を出来事別にみると、「悲惨な事故や災害の体験、目撃をした」(72件)と「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、または暴行を受けた」(69件)が多数を占めた。「1カ月に80時間以上の時間外労働を行った」(55件)も全体の1割強に上る。