石綿除去で工事届出さず 元請けを書類送検 大阪労働局
大阪労働局(中沖剛局長)は、石綿含有吹付け材の除去作業に係る計画を届け出なかったとして、元請会社と同社屋外工事部課長代理、違反を幇助した一次下請会社の支店長および同本社営業部課長、二次下請会社と同社代表取締役の合計2法人4人を、労働安全衛生法第88条(計画の届出等)違反などの容疑で大阪地検に書類送検した。
元請けの課長代理は、平成26年3月中旬に請け負った倉庫解体・撤去工事で、一階天井付近に石綿含有吹付け材が使用されているにもかかわらず、法定の計画を作業開始の14日前までに所轄の大阪南労働基準監督署に届け出なかった疑い。
一次下請けの支店長らは、同年4月7日の最終現場確認で、分析機関からの速報により吹付け材に石綿(クリソタイル)が0.1%以上含有していることを知っていたが、元請けの課長代理に「会社的に石綿がないということなら施工します」などと助言し、届出を行わないまま二次下請けに石綿含有の事実を伏せて発注するなど、元請けの違法行為を幇助した(刑法第62条「幇助」、同法第65条「身分犯の共犯」を適用)。
このため、通常の解体工事の装備で作業に従事していた二次下請労働者、さらには三次下請労働者などが石綿粉じんにばく露している。
二次下請けについては、石綿などの使用の有無を分析により調査し、その結果を記録する措置を怠ったとして労働安全衛生法第22条(事業者の講ずべき措置等)違反の容疑で処分した。
摘発のきっかけは、関係者からの情報提供。それに基づき元請け、一次下請けの事務所などを強制捜査している。大阪労働局管内では近年、石綿除去工事に関する情報提供が相次いでおり、23年以降の3年間で、5件、8件、13件と情報提供に基づく監督指導が増加傾向にある。