過労死企業へ立入調査 8割強で法違反が発覚 埼玉労働局
2014.12.01
【安全スタッフ ニュース】
過労死などの労災請求があった事業場に立入調査したところ、8割強で何らかの法令違反がみつかったことが埼玉労働局(阿部充局長)の監督指導結果で分かった。運輸交通業が全体の4分の1を占め、違反も9割を超えるなど最も労務管理状況が悪かった。運転者不足の深刻化が背景にあるとみている。
平成25年度に過労死など過重労働による脳・心臓疾患または精神障害による労災請求を受けて立入調査を行ったのは43事業場。このうち37事業場(86.0%)で労働基準関係法令違反が判明した。
労働基準法関係の違反で目立つのは「労働時間」(62.8%)で、36協定の限度時間を超過していたケースが大半。25年度の全業種の違反率(27.4%)を40ポイント近くも上回った。労働安全衛生法関係では、順に「衛生管理者」(16.3%)や「健康診断」(14.0%)が多かった。
業種別でみると、道路運輸交通業を中心とする運輸交通業が11事業場とトップだった。このうち10事業場(90.9%)で何らかの法令違反が確認された。最も時間外労働が長かったのは、月200時間を超えるトラック運転者のケースとなっている。
労働時間違反に至った原因としてトラック運転者の不足を挙げる運送事業者が少なくないという。特に最近、中型免許制度などの影響で若手の運転者が確保しにくい実態があるため、労働環境の悪化による労災発生が懸念されている。
平成26年12月1日第2223号 掲載