解体工事の労災増懸念 すでに死亡が前年と同数 東京労働局が要請
東京労働局(西岸正人局長)は、解体工事業の死亡災害が8月時点ですでに前年と同数の5件に達していることから、(公社)全国解体工事業団体連合会、(一社)東京建物解体協会など関係4団体に災害防止を徹底するよう要請した。解体工事業に対する集団指導に合わせて行ったもの。同労働局では、2020年の東京五輪に向けて建設需要が高まることを想定し、今年度から解体工事業に対する重点監督指導をスタートさせている。
平成26年の東京都内における建設業の死亡災害発生件数は37件で、このうち5件が解体工事現場だった。今年に入って建設業の死亡災害は20件とほぼ横ばいで推移したものの、解体工事現場は5件とすでに前年と同数になっている(8月17日現在)。
このため、解体工事業の経営者・管理者など約170人を集めた労災防止講習会の場で、(公社)全国解体工事業団体連合会、(一社)東京建物解体協会、(一社)東京建設業協会、建設業労働災害防止協会東京支部の4解体工事関係団体の長宛てに要請を行った。
事前調査・作業計画の作成、周知の徹底、墜落・転落災害防止措置の徹底、崩壊・倒壊防止措置の徹底、解体用機械による災害防止措置の徹底など5つの実施項目を挙げている。講習会では、元請けの統括管理が上手くできておらず、作業計画が不十分なまま着工する現場があると指摘。
なかには専門工事業者に任せっぱなしのケースもあるため、元請けと下請け間の連携を密にして連絡調整に不足がないようにすべきとした。
今後の注意点については、1964年の東京五輪開催前に労災が顕著に増加したデータを示したうえで、現在も同様に建設需要が高水準で現場数・大型現場が多くなっているため、建設技能労働者などの人手不足などの要因も視野に入れた対策が急務としている。