違法な残業6割超も 長時間労働削減進める 厚労省が重点監督
厚生労働省は、長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導結果を公表した。6割超の事業場で違法な長時間労働が確認されたため是正指導を行っている。36協定の上限を超えて月170時間に及ぶ残業に従事させていた製造業のほか、運送業、IT関連業、コンビニエンスストアなど10事例について詳細を明らかにした。
今回の監督指導は、長時間労働削減推進本部(本部長:塩崎恭久厚生労働大臣)の指示を受けて、全国の労働基準監督署が実施したもの。月100時間を上回る時間外労働が行われたとされる事業場や、過労死などに関する労災請求があったすべての事業場が対象。
平成27年4~6月に2362事業場へ立入調査したところ、62.6%に当たる1479事業場に違法な時間外労働がみつかった。このうち時間外労働の実績が最も長い労働者の時間数が月100時間を超える事業場は6割(921事業場)を占め、150時間を超える事業場も1割強(203事業場)と少なくなかった。
とくに懸念されるのは、過重労働による健康障害防止措置が不十分なため改善を指導したケースが81.7%(1932事業場)に達したことだ。健康障害防止措置の未実施も17.2%(406事業場)と2割近くに上る状況と併せて、長時間労働者への医師による面接指導や衛生委員会などでの調査審議などの体制が整備されていない実態が分かった。
労働基準法第32条(労働時間)違反に対する是正勧告、特別条項付き36協定の適正な運用について指導した製造業では、労働者に最も長い時で月170時間、4カ月間について月100時間を超える違法な時間外労働を行わせていただけでなく、面接指導を受けた労働者の中に、過重労働で体力的にも精神的にも限界に近いと訴える者が認められた。