爆発防止怠り送検 製造業で粉じんに引火 東京労働局
東京労働局(渡延忠局長)は、マグネシウム合金粉じんが存在し爆発の危険のある場所で、防爆性能のない電気機械器具を使用させたとして精密部品加工・治具製作などを行う製造会社と同社取締役工場長を安衛法第20条(事業者の講ずべき措置等)違反容疑で東京地検に書類送検した。
昨年5月、ノート型パソコン筐体の製造・加工などを行う同社工場(当時:東京・町田市)で、労働者が産業用ロボットに電子カウンターを取り付けてロボットを起動させたところ、空気中のマグネシウム合金粉じんに引火し、地上2階、地下1階の工場の半分以上の延べ床面積を焼く工場火災が発生した。
同社取締役工場長は、安衛則第282条で「事業者は、爆燃性の粉じんが存在して爆発の危険のある場所において電気機械器具を使用するときは、当該粉じんに対して防爆性能を有する防爆構造電気機械器具でなければ、使用してはならない」とあるにもかかわらず、労働者にそれ以外の電気機械器具を使用させた疑い。
同労働局によると、同社では、労働者に操作用機器を操縦させて産業用ロボットによる筐体のバリ取りを行わせていたという。操作用機器とロボットをつなぐコントローラーが発火源とみている。
マグネシウム合金粉じんを除去する局所排気装置などはほとんど機能しておらず、労働者に適正な防じんマスクの配布・装着もさせていなかった。このため、「工場内では常に粉じんが舞っており、いつ爆発してもおかしくない状況にあった」とした。
一般的にマグネシウム合金のバリ取り作業は、安全性などの問題から労働者に手作業で行わせるケースが多いという。
工場火災により被疑者である同社取締役工場長が全身やけどで死亡し、部長と作業員が同じく全身やけどで休業12カ月の重傷、課長が顔の火傷などで休業6カ月の重傷、そのほか3人が軽傷を負っている。