【特集1】がん治療と仕事 両立できる職場づくりへ 柔軟な有休取得容認がカギ 意識変革のための教育も/失効有休を1日単位で利用可能に―テルモ 社員7万人にe-Learningでがん教育―富士通
2人に1人が生涯のうちにかかると言われている「がん」。疾病による1カ月以上の連続した休業のうち、がんを理由とするものは約20%で、メンタルヘルス不調に続いて2番目に多い。同時に、医療の進歩によって「長く付き合う病気」に変化しつつあり、治療と仕事との両立を希望するケースも増えている。こうしたなか、治療と仕事の両立をしながら働ける環境づくりが企業の課題となっている。今号の特集Ⅰでは、柔軟な休暇の取得制度、職場の理解やサポートを得るための健康教育などに力を入れている企業の支援事例を紹介する。
事例①:テルモ株式会社
働き方改革を推進するなかで、有給休暇をより本人の都合に合う形で取得できるよう制度化。失効有休をがんの通院や治療に当てることも認め、人事部と職場が協力することで、就労継続と職場のサポートを両立している。
事例②:富士通株式会社
今年、がん治療と就労の両立支援をテーマとした講義をe-Learningにより実施。社員約7万人を対象とした教育では、がんが決して他人事ではない病気であることを伝え、社内の両立制度の活用について周知を図っている。
<事例①>失効有休を1日単位で利用可能に 多様な働き方を支援する制度導入 テルモ
テルモ㈱(東京・渋谷区)は、がんにり患した社員が治療をしながら働き続けられるように、「がん就労支援制度」を2017年に制定した。失効した有給休暇の一日単位での利用や出勤率に影響しない無給休暇の付与、短時間勤務制度などを組み合わせ、フレキシブルな勤務を可能にしている。
多様な働き方を支援
創業以来、「医療を通じて社会に貢献する」を企業理念に掲げて活動を続けてきたテルモ。健康保険組合と二人三脚で社員の健康増進に力を入れ、今年は6年連続で健康経営銘柄に選ばれた。がんの治療と就労の両立支援については、以前から個々の状況に応じて、通院や治療と仕事を両立できるよう配慮してきたが、がんを患いながら働く社員の数が増えてきたことから、…
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